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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」

モバイルとクラウドでフィールド業務を効率化する袖ケ浦火力発電所の狙い

大河原克行

2016-04-28 08:00

 東京電力フュエル&パワーが、千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦火力発電所で業務の電子化に取り組んでいる。LNG設備点検の記録採取方法を従来の記録用紙からデータへと変更することで作業時間の削減と業務の効率化につなげているという。

 パナソニックのWindows搭載デバイス「FZ-E1」を95台導入。SaaS「Office 365」を活用して、2015年12月から東京電力の袖ケ浦、千葉、鹿島、横浜、富津の5つの火力発電所で稼働させた。年間投資予算は約1500万円。

95台を導入したFZ-E1
95台を導入したFZ-E1

 具体的には、貯蔵タンクの貯蔵量レベルや圧力、各種ポンプの圧力や流量などのLNG設備データを確認する作業を電子化。点検報告書についても、紙での授受を廃止し、データで事務処理することで効率化を図ることを目指した。データは、Office 365を活用して、本社と火力発電所間でも共有できるようにしている。

 定期的な点検を行っている海水消火ポンプの記録採取、デバイスに搭載しているカメラ機能を使って、現場で発見した不具合箇所を写真や動画で撮影して、情報を共有するといった使い方も行っている。

 メガネ型のウェアラブルデバイスを利用して、弁動作状況を確認することもできる。

 「弁動作は作業員と、作業を確認するための2人体制であったが、現場には1人で訪れ、遠隔地からウェアラブルデバイスから送られてくる映像をもとに操作を確認できるようになる」

中央部にカメラがついているメガネ型デバイス
中央部にカメラがついているメガネ型デバイス

年間180時間を削減

 袖ケ浦火力発電所では、貯蔵タンクが配置されている構内エリア、同じく貯蔵タンクが設置されている隣接エリア、そして、導管が配置されている導管エリアを毎日約120分をかけて、4グループにわけて巡視して、紙に書いた情報をPCに入力していた。

 項目は貯蔵タンクごとに20~30項目、合計で約300項目。毎日すべての貯蓄タンクを回り、状況を紙で記録し、状況を把握してきたというわけだ。

東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所長 小川泰規氏
東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所長 小川泰規氏

 屋外での検査が約7割を占めるため、雨や雪の日には、濡れても記入ができる紙にコピーして、作業を進めてきたという。これらの作業を防水、防塵、防爆仕様のデバイスを活用して電子化することで検査記録と報告書作成までの作業時間を90分間にまで削減できた。

 東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所LNGグループの山口章氏は「1日あたり30分間の削減だが、年間180時間を削減できる。机上作業を減らし、現場での作業時間を増やせるようになった」と効果を説明する。

 東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所所長の小川泰規氏は、「これまでは、現場で数値を確認することだけに時間を取られていたが、電子化して開いた時間を活用し、モーター、ポンプに2秒しか触れなかったものを5秒触れるようになる。検査する人たちが五感で感じて、異変を感じられるようになるといったメリットを期待している」とする。


貯蔵タンクの量や圧力、各種ポンプの圧力や流量などのLNG設備データを確認し、FZ-E1に入力する

 東京電力フュエル&パワー 火力部火力運営グループマネージャーの武藤元氏も「5つの火力発電所の中でも袖ケ浦火力発電所は規模が大きく、検査項目が多い。最初に導入する拠点に適していると感じた。今後は袖ケ浦火力発電所以外にも活用し、さまざまな業務でも活用したい」と期待を寄せている。

 袖ケ浦火力発電所は、14台のデバイスを導入。これらは防爆仕様となっており、一般的な堅牢タブレットよりも厳しいスペックとなっている。

 東京電力フュエル&パワー 火力部火力運営グループ 海口彩夏氏は、「落下させたり、どこかに当たったりした場合にも金属部分から火花が出ないようなカバーを取り付けている。日本での防爆認証は、米国よりも厳しいが、これをクリアしているWindows搭載デバイスはFZ-E1しかなかった」と説明する。

東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所 LNG管理グループマネージャー 成迫利徳氏
東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所 LNG管理グループマネージャー 成迫利徳氏

 FZ-E1は、5型ディスプレイであるため見づらいところもあるが、安全性を最優先して、選定した。

 Excelをベースとした記録用フォーマットは、関連会社の東電フュエルが開発。それぞれの項目に数値を入力する際に管理値以内だと入力した文字を黒く表示。管理値から逸脱した数字だと赤く表示される。

 「入力時点で入力間違いやデータの異常に気が付くことができる。前日データと当日データとが比較できるため、その場で前日との違いも確認できる」(東京電力フュエル&パワー 袖ケ浦火力発電所 LNG管理グループマネージャー 成迫利徳氏)

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