独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は4月27日、「IT人材白書2016」を発行した。
今回の白書では、組込み技術者、ネットワーク技術者、データ活用人材にIoTやビッグデータへの関わり、携わっている業務の内容、必要とされる技術などを尋ねた結果を、「IoTに携わる技術者の新しい学び方」として紹介している。
その主な結果は以下の通り。
IoT関連業務への関わりの違い
各技術者に対して、IoTに関連する業務に関わっているかどうかを尋ねた結果、ネットワーク技術者とデータ活用人材は「あてはまらない」(なんらかのIoT関連業務であてはまる)と答えた割合が低く、IoTに関連する業務に関わっている割合が高いと言える。データ活用人材はデータの分析段階に関わる割合が高く、ネットワーク技術者はデータの取得と技術全般に対する判断や評価の実施に関わる割合が高かった。
IoTに携わる人材がIoTに関連する業務へ関わっている割合(IPA提供)
IoTに関わる人材に現在必要な技術力
組込み技術者、ネットワーク技術者、データ活用人材に、どのような技術力が必要であるかを尋ねた結果、どの技術者においても高い割合だったのは、「顧客(業務)分析力、企画力」で、共通して重要だと考えられているといえる。
そのほかの技術力については、組込み技術者はアプリケーション技術を重視し、データ活用人材はデータ解析(統計)を重視するなど担当する専門分野の技術力を重視する傾向にあるのに対し、ネットワーク技術者は「ネットワーク技術」だけでなく「情報セキュリティ技術」の割合も高く、“つなぐ”役割を担う上で、情報セキュリティの重要さを強く認識していることがわかる。
IoTに携わる人材に現在必要な技術力(回答選択制限数等を加味した補正値の比較)(IPA提供)
IoTに関わる人材のスキルアップ
各技術者が、どのようにIT技術のスキルアップやキャリアアップを行っているのかを尋ねた結果、最も割合が高い方法は「雑誌や書籍、ウェブサイトを通じた独学・情報収集」だったが、所属企業内・所属企業外ともに「研修・セミナー等への参加」の割合も高かった。
また、ネットワーク技術者とデータ活用人材については、「所属企業以外のコミュニティ活動への参加」の割合も比較的高くなっているほか、データ活用人材に限れば「MOOC(Massive Open Online Courses、大規模オープン・オンライン・コース)利用」が高い割合を示した。
今回調査対象としたネットワーク技術者、データ活用人材のように、一部の人材においては社外のセミナーやコミュニティなどのオープンな環境で技術を獲得し、技術の変化に追随している状況が推測できる。
IoTに携わる人材の個人負担によるIT技術のスキルアップの方法(IPA提供)