米エンタープライズDBのCEO--「いまやEDB Postgresが標準」

日川佳三 2016年06月23日 07時00分

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 米EnterpriseDBは、オープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)である「EDB Postgres platform」を展開している。データベースエンジンを中核に、高可用性クラスタリングやレプリケーションといった周辺ツール群やサポートサービスを組み合わせている。これらを年額制のサブスクリプションライセンスの形式で提供している。

 「EDB Postgresは企業のSOR(System of Record)システムで標準的に使われている」。米EnterpriseDBでChief Executive Officer(CEO)を務めるEd Boyajian氏は、現在のEDB Postgresの立ち位置をこう表現する。これまで企業で標準的に使われてきたOracle Databaseなどの他社製データベースを置き換えているとのこと。

米EnterpriseDB、CEOのEd Boyajian氏
米EnterpriseDB、CEOのEd Boyajian氏

 「EDB Postgresが社内標準データベースになったことで、さまざまなデータ形式をEDB Postgresで扱えるようにする需要が高まった。大きな役割を担うようになった」(Boyajian氏)。これを受けて、この1年ほど、EDB Postgresから外部データベースにアクセスするためのFDW(Foreign Data Wrappers)機能の強化に注力している。

 売り上げ額は、25四半期(6年)にわたって増加し続けている。Fortune500企業の82社がEDB Postgresを使っており、米GartnerのMagic Quadrantでも、米Oracle、米IBM、ドイツSAP、米Microsoftなどと並び、DBMSのリーダーに位置付けられている。「この5年間で性能と拡張性を大幅に改善し、競争力を高めた」(Boyajian氏)

商用版のDBエンジンは企業向け機能に注力

 中核となるデータベースエンジンは、コミュニティ版の「PostgreSQL」と商用版の「EDB Postgres Advanced Server」の2種類から選べる。コミュニティ版はオープンソースコミュニティが開発しており、商用版はコミュニティ版をベースに米EnterpriseDBが企業向けに機能を強化している。「コミュニティ版の開発者の一部は米EnterpriseDBの社員であり、商用版の開発者を兼ねている」(Boyajian氏)

 EDB Postgresのユーザーは、データベースエンジンの選択として、「70%が商用版(EDB Postgres Advanced Server)、30%がコミュニティ版(PostgreSQL)を使っている」(Boyajian氏)。商用版だけが備える機能面での特徴は、Oracle Databaseとの互換性、SQLインジェクションに対するセキュリティ、金融業界など特定のユースケースに合わせた機能追加、などになる。

 「商用版は性能面でも優位性がある」(Boyajian氏)。例えば、大規模データを高速に検索できる。大規模な表(テーブル)を複数の子テーブルに分割するパーティションテーブルにおいて、商用版では1000個のテーブルに分割できる。コミュニティ版の場合はオーバーヘッドが生じるため、テーブルは100個程度が上限という。

Oracle Databaseとの互換性に特徴

 機能面では、Oracle Databaseとの互換性が特に重要だ。「Oracleはデータベース界の巨人。パワーバランスが崩れており、ユーザーよりもOracleの方がパワーを持っている。このため、ユーザーはフラストレーションを抱えている。Oracleから他のデータベースへの移行がトレンドだ」(Boyajian氏)

 日本でも、ここ数年でOracle Databaseの購入費や維持費が上がってきている。廉価エディション「Standard Edition One」の販売も終了した。仮想化環境で使う場合のライセンスが分かりにくいなど、課題が上がっているという。「日本法人であるエンタープライズDBへの問い合わせで、Oracle Databaseに関する問い合わせが以前と比べて15倍に増えた。着実に移行先としてEDB Postgresが候補に上がっている」(Boyajian氏)

 Boyajian氏によれば、Oracle Databaseとの互換性がここまで高いデータベースは、他にはない。既存のデータベースをEDB Postgresに簡単に移行できるという。さらに、新規システムのデータベースにEDB Postgresを採用する際にも「Oracle Databaseのスキルセットをそのまま流用できる」(Boyajian氏)。

 実際に、EDB Postgresユーザーの50%は新規のデータベースシステムで使っているが、残りの50%は他のデータベースからの移行組であるという。移行元の多くはOracle Databaseだ。

 テーブルを移行できるだけでなく、データベースエンジン側で業務ロジックを動作させるために使う、PL/SQLで記述したSTP(STored Procedure)プログラムも「ほぼそのまま移行できる」(Boyajian氏)。国内の移行事例では1万ステップのSTPがそのまま通り、2週間で移行が完了したという。

 Boyajian氏は、実際の移行事例を2例挙げた。米MasterCard Worldwideは、最初は一部のシステムでEDB Postgresを導入していたが、今では社内の標準データベースになった。韓国の通信事業者であるKTは、400個の既存システムの多くをOracle DatabaseからEDB Postgresに移行し、保守費用を大きく削減した。

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