米大学が開発した1000コアチップ「KiloCore」--単3電池で駆動可能な低電力実現

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-06-27 11:04

 カリフォルニア大学デービス校の研究チームが世界初であるとする1000コアチップを開発した。さらにマルチコアプロセッサにありがちな消費電力の問題を克服する設計を実現したという。

 研究チームによると、2週間前に発表されたこのチップは、1秒間に1兆7800億の命令を処理することが可能で、6億2100万個のトランジスタを搭載するという。また、この新チップは1000コアを搭載するだけでなく、エネルギー効率もこれまでに開発されたマルチコアチップの中で最も優れているという。

 1つの単三電池に相当する電力でも稼働するようにチューニングすることができる。例えば、0.7Wの電力で1秒間に1150億の命令を実行することが可能だ。

 この1000コアチップは米国防総省の資金提供のもと、IBMの32ナノメートルCMOS技術を使って製造された。研究論文で述べられているように、アレイ全体のサイズは7.94mm×7.82mmで、18個のプロセッサが約1mm四方のスペースに搭載されているという。

 このチップは1000のパケットルータ、さらにデータと命令要求を処理する12のメモリモジュールも備える。各コアは平均で最大1.78GHzのクロック周波数で動作することが可能だ。

 カリフォルニア大学デービス校で電気およびコンピュータエンジニアリングの教授を務めるBevan Baas氏の説明によると、1000個のプロセッサチップはそれぞれ別々にプログラミングすることが可能なので、「KiloCore」チップの設計はGPUよりも効率性と柔軟性に優れているという。

 GPUは「単一命令、複数データ」(SIMD)オペレーションを使って並列計算を行うが、KiloCoreは「複数命令、複数データ」(MIMD)オペレーションを使用する。

 「アプリケーションを多数の小さな部分に分解して、それぞれの部分をさまざまなプロセッサで並列実行できるようにすることにより、低消費電力で高スループットを実現することが狙いだ」(Baas氏)

 研究チームは同チップのプログラミング用のコンパイラとマッピングツールセットも開発した。

 「プログラミングは、プログラムをプロセッサに割り当てるマッピング段階を含む複数段階のプロセスによって達成される」(研究チーム)

 また同チームは、このチップ向けに複数のアプリケーションを開発している。無線コーディング/デコーディングや動画処理、暗号化、そしてデータセンター記録処理や科学データアプリケーションなどの処理に利用されるものだという。

カリフォルニア大学デービス校の研究チームが発表した1000コアのプロセッサ「KiloCore」
提供:University of California, Davis

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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