海外コメンタリー

目指すは最速エクサ級スパコン--AMDが構想する未来のアーキテクチャ

John Morris (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル 2015年08月11日 06時15分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 チップメーカーAdvanced Micro Devices(AMD)の「APU」技術は、CPUとハイエンドGPUを同一の基板で統合させたものだ。同社は、新たなレベルのパフォーマンスを実現するためにAPUをゲームコンソールやPCからスーパーコンピュータへと拡大させる取り組みについて、さらなる情報を明らかにした。エクサ級のパフォーマンスを妥当な電力消費量で実現するための最適な方法として、ヘテロジニアスアーキテクチャと新しいメモリ階層を合わせて推進しているという。

 このコンセプトは新しいものではない。AMDは、米エネルギー省の助成を受けた「FastFoward」と「FastForward 2」の両プログラムの下、数年前からこのアイデアに取り組んでいる。しかし、論文誌「IEEE Micro」の次号に掲載される論文(原稿が有料で公開されている)では、このシステムがどのようなものかについて、AMDの研究者が詳しく説明している。

 1エクサフロップス、つまり1000ペタフロップス以上を達成できるシステムを構築するとしたら、約10テラフロップスの性能を持つサーバを少なくとも10万台以上相互接続する必要があるだろう。さらにそのシステムは、消費電力を20MW以下にする必要がある。この観点から見ると、現在の世界最速のスーパーコンピュータは、最高で33.86ペタフロップスであり、その消費電力は18MWだ。チップのレベルでは、Intelで最速の「Xeon E5-2600v3」(開発コード名:Haswell-EP)プロセッサが0.5テラフロップス強、AMDやNVIDIAのハイエンドGPUは倍精度で約3テラフロップスの性能だ。

 別の言い方をすれば、ムーアの法則だけでは、近いうちにエクサ級のスーパーコンピュータが実現することはないということだ。代わりにAMDは、32個のCPUコア(x86かARMのいずれかの命令セットを実行する)と、大型GPU(1ノードあたり10テラフロップスを達成するための力仕事の大半を行う)を組み合わせた、「Exascale Heterogeneous Processor」(EHP)を提案している。

 エクサ級システムでは同時に、帯域幅の広いメモリがより多く必要になる。AMDは、同社が最新のハイエンドGPUで先駆けて開発したのと同じ、3D積層の「高帯域幅メモリー」(HBM)を使用することを提案している。このハイエンドGPU「Radeon R9 Fury X」は、1Gバイトのスタックを4つ(1スタックが2Gビットチップ4個からなる)を使用することで、512Gbpsの帯域幅を備えた、合計4GバイトのDRAMを構成している。一方、EHPについては、現在の仕様に基づき、これを8スタック(1スタックは4Gビットチップ4個からなる)に増やし、1Tbpsの帯域幅を備えた、サーバノードあたり合計16Gバイトを実現することを目指す。AMDは、多少の強化を行えば、最終的にはエクサ級の目標を満たす4Tbpsまで帯域幅を高められると考えている。

figure_1

 しかし、それでもまだメモリが十分ではないため、AMDは、最低でもサーバノードあたり1テラバイトという目標を達成するために、別に不揮発性メモリの層を追加している。HBMが、同じパッケージ内のシリコンインターポーザー上でプロセッサの近くにあるのとは異なり、この大型のメモリプールはパッケージの外に置かれている。それはフラッシュメモリになる可能性もあるが、抵抗変化型メモリ(RRAM)や、磁気抵抗メモリ(MRAM)、相変化メモリ、メモリスタといった、新しい形の不揮発性メモリの1つになる可能性もある。これは、IntelとMicronが先頃発表した「3D XPoint」メモリと概念の面で非常に似ている。3D XPointは、高性能コンピューティングにおける高速DRAMと高密度フラッシュメモリの間のギャップを埋めることを意図したものだ。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]