海外コメンタリー

Hadoop Summitに見る、ビッグデータエコシステムの秩序と分断 - (page 2)

Andrew Brust (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-07-07 06:00

 従って今のところ、ODPiは「Hortonworks Data Platform」(HDP)に沿った標準であり、これにあまり有名でないディストリビューションが追従しているもののように見える。しかし、望みもある。Linux FoundationでODPiのプログラムマネジメントディレクターを務めるJohn Mertic氏は筆者に、Runtime Specificationが拡大されて、HDFSの代わりに「Hadoop Compatible File System」(HCFS)のパラメータを含めることになる可能性があると話してくれた。これによって、表面上はMapRとMicrosoft(HDFSの代わりに、それぞれ「MapR-FS」および「Azure BLOB」を使用している)がODPi Runtime Specificationに対応できるようになる。また、論争の火種になっているOperations Specificationがオプションとしての位置づけに近くなれば、行き詰まりが解決される可能性もある。

MoSQL

 Hortonworksはまた、同社がLLAP(Live Long and Process)と呼んでいるエンジンのプレビュー版をリリースした。このエンジンは、Tezと併用することで、「Hive」で1秒未満のクエリ応答時間を実現することができる。同社はさらに、HDPに新しいコンポーネントを追加すると発表した。OLTPおよび運用アナリティクスアプリケーションのためのリレーショナルデータベースとして設計され、「Apahce HBase」上に構築される「Aapche Phenix」だ。

 これはHDPの顧客に新たなイノベーションを提供するものだが、同時にSQL-on-Hadoop市場はさらに混乱することになる。Apache PhoenixはSQL-on-Hadoopのまったく新しい選択肢であり、LLAPにはHive用の4つめの運用モードが導入されることになるためだ(残りの3つはMapReduce、Tez-only、Sparkだ)。

ガバナンス、セキュリティ、統合

 少なくともDataguiseは、ある種の統合に向けた取り組みを進めている。同社の製品「DgSecure」は人工知能(AI)を使用したデータガバナンスとセキュリティ(機械学習を用いて、メタデータの特定と、一部データの行および列に対する制約の提案と自動化を行う)をすべてのHadoopプラットフォームに提供し、「Apache Ranger」と「Atlas」を統合するものだ。

 DataguiseはHadoop Summitで、DgSecureのバージョン6.0を発表した。同社は、互換性のあるテクノロジを作ることで、分断を回避し、付加価値を付ける独立系ソフトウェアベンダーの好例だと言える。Dataguiseは今後「Apache Sentry」や「Cloudera Navigator」のサポートも追加するだろうか?筆者はそうなることを希望している。そうなれば、ビッグデータのエコシステムにとって素晴らしい前例となるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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