「日程は、現在保有している『Microsoft Office』のライセンスの期限に従ったものだ」(Sileo氏)
現在、国防省内の部署ではMicrosoftのさまざまなバージョンの生産性スイートが使用されている。一部のソフトウェアはかなり古く、日々の作業を遂行するうえで支障をきたしたり、IT部門の足を引っ張ったりしている。
LibreDifesaプロジェクトは、オープンソースへの移行をスムーズなものにするために2015年10月から12月にかけて、陸、海、空軍におけるさまざまな部署のマネージャーや幹部を対象にセミナーを25回以上実施し、移行の背景となる根拠を説明した。
同省はこれと並行して、職員が生産性スイートを実際にどのように使用しており、他にどのようなソフトウェアを一緒に使っているのかという調査も実施した。
その結果、職員のうち「PowerPoint」を使っているのは20%のみであり、PowerPointと「Excel」を使っているのは15%のみ、データベースソフトウェアである「Microsoft Access」を使用していると回答したのは2%にすぎなかったという。
同省によると、この調査結果は移行における潜在的な長所と短所を評価するうえで、そして特定プログラムのアップグレードを計画するうえで役立ったという。
Sileo氏は「今のところ、(移行に伴う)問題には特に遭遇していない。これはLibreOfficeへの移行が、巷で語られているほど難しいものではなく、適切な説明があれば人々は変革に反対しないということの証となっている」と述べている。
イタリア国防省は、その経験を他の省庁で生かせるように取り組んでもいる。このため、プロジェクトに関するさまざまなドキュメントとともに、オンラインコースをCreative Commonsライセンスの下で公開し、職員が新たな生産性ツールとしてLibreOfficeを活用できるよう支援する計画だ。
このコースは、LibreOfficeの普及を目的とした非営利団体であるLibreItaliaの支援を受けて作成されている。2015年9月に国防省との覚え書きを交わしたLibreItaliaは移行計画と、このプロジェクトの立ち上げフェーズにおけるアドバイスを提供した。
LibreItaliaのプレジデントであるSonia Montegiove氏は、国防省がThe Document Foundation(TDF)の「LibreOffice Migration Protocol」に従うことを推奨したと述べている。
同氏は「われわれは彼らに対して、『LibreUmbria』といったイタリアで成功した移行事例における重要な点をいくつか指摘した。最後に、このようなプロジェクトすべてで欠かすことのできない訓練を支援した」と述べている。