普遍的なニーズに応える、普遍的なシステムを構築する必要性
では、IoTのシステム開発において、これから具体的にどのような課題意識を持っておく必要があるのだろうか。重要なのは、解決すべきクライアントの真の課題とは何かを明確にするということだ。
クライアントが達成したい目的は何か。そのニーズは普遍的なものか。そしてそのニーズはIoTで解決できるもの/解決すべきものなのか。これらのことを見極める必要がある。クライアントにとって、IoTはあくまで手段であって目的ではない。
場合によっては、IoTを導入せずに別の選択肢で課題を解決するという道がクライアントのニーズに応える適切な解ということもあるだろう。
その上で、システムベンダーやシステムインテグレーターはこの解決すべきクライアントの真の課題に自社でどこまで対応できるかの見極める必要がある。クライアントのニーズを探った結果、そのニーズは自社の得意領域だとは限らない。
ニーズに対して素早く、効率よく応えていくためには、自社の強みで対応できる領域/対応できない領域を明確にし、自社で対応できない弱みはパートナーエコシステムによる分業でカバーするという体制を作ることが不可欠なのだ。
もう1つ重要なのは、解決すべきクライアントの普遍的なニーズに対して提供されるシステムもまた、普遍的でなければならないということだ。
前述した通り、クライアントのIoTに対するニーズは、ビジネスの効率化や生産性向上など事業の根幹に深くかかわる部分で生まれようとしている。IoTの導入がミッションクリティカルになろうとしているのだ。
そうした中で機能するシステムは、2年、3年で入れ替えや更新が必要なものでは十分ではなく、メンテナンスフリーで10年動かしても壊れないハードウェア、規格の変化やシステム構成の変化にも対応することができるソフトウェアを中核とした柔軟性、冗長性を備えたシステムが求められる。
クライアントの事業の効率化や生産性向上のために、システムが新たな手間を作ってはいけないのである。