ユーロポール、ランサムウェア被害者を救済するイニシアチブを発足--民間セキュリティ企業などと連携

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-07-26 10:48

 欧州刑事警察機構(ユーロポール)とオランダ国家警察、Intel Security、Kaspersky Labが共同でポータルを開設して、暗号化されたファイルのロックを解除する鍵や、ランサムウェアへの感染自体を防ぐ方法についての情報を提供する「No More Ransom」イニシアチブが発表された。ローンチの時点で、「NoMoreRansom.org」には、悪名高い「CryptXXX」を含むさまざまなランサムウェアのロックを解除する4つのツールが含まれる。

 同イニシアチブは、「Shade」マルウェアの暗号解読ツールもリリースした。このツールの開発は、当局が同ランサムウェアの鍵の保存に使われていたコマンド&コントロール(C&C)サーバを押収したことで可能になった。それらの鍵はKaspersky Lab、Intel Securityに提供され、両社は16万以上の鍵を開発した。Shadeの被害者はそれらの鍵を使うことで、サイバー犯罪者に身代金を払わなくてもデータを取り戻すことができる。

 欧州連合(EU)の法執行機関であるユーロポールによると、こうした成功事例は、民間のセキュリティ企業と政府の法執行機関が連携することの重要性を証明しているという。

 ユーロポールの幹部であるWil van Gemert氏は、「数年前から、ランサムウェアはユーロポールにとって最大の懸念材料になっている。これは市民と企業、コンピュータとモバイル端末に影響する問題であり、犯罪者は効果的に被害者のデータを人質に取るため、より高度な手法の開発に取り組んでいる」と述べた。

 No More Ransomのウェブサイトは随時更新され、脅威に関する情報が追加されていく予定だ。また、ほかのセキュリティ企業に対しても、ランサムウェア被害者を助けるアドバイスやツールの提供を呼びかけている。

 No More Ransomは現在、Shade、「Coinvault」「Rannoh」、および「Rakhni」ファミリのランサムウェアの暗号解読ツールを提供している。

 同ウェブサイトには、「あらゆる種類のランサムウェアに解決策があるわけではない」とも書かれている。しかし、身代金を支払わずにファイルを取り戻す方法がない場合でも、サイバー犯罪者に屈してはいけない、とNo More Ransomは被害者に忠告している。ランサムウェアが効果的であることを証明してサイバー犯罪者を助長してしまうだけでなく、暗号化されたファイルに再びアクセスできるようになる保証もないからだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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