伊藤忠商事は、2001年度から稼働している基幹システムを全面的に刷新することを決定した。2018年度から段階的に新システムに移行し、2020年度から本格稼働させる計画。SAPジャパンが7月28日に発表した。
新基幹システムの基盤には、経営管理情報のハイスピードかつ多種多様な検索を支える最新技術が実装されていること、実使用量に応じた従量課金制でシステムの開発工程から稼働後の運用も含めてコスト削減の効果を見込めることなどの理由から、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のIaaS「CUVICmc2」を採用する。
またアプリケーションには、統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP S/4HANA」を国内の総合商社として初めて導入する。大量の取引情報のリアルタイム処理を実現するプラットフォームとして、またさまざまな経営管理情報を蓄積するデータベースとして活用していく。加えてモバイルソリューション機能を活用し、働き方に応じた全社員が総活躍できる多様なシステム利用環境を実現していくとしている。
伊藤忠商事は、システム刷新について中期経営計画に掲げた「商社新時代をリードする全社員総活躍企業」を目指す方針の下、日々の商売の基本である「か(稼ぐ)・け(削る)・ふ(防ぐ)」の徹底、今後の連結経営の深化を見据えた機能の拡充、全社員総活躍へ向けたワークスタイルの改革の支援を狙いとしている。
同社は今回の新基幹システムでさまざまな経営管理情報のリアルタイムでの取得を可能として営業現場へ「活きた情報」を提供、これにより業務効率の向上と業務時間の短縮を目指す(「削る」)。IT活用による事務処理の効率化により、顧客と接する時間を増やし「現場力」を高める(「稼ぐ」)と同時に、日々の商取引でのビジネスリスクを早期に把握する機能を強化し、不慮の損失を防ぐ(「防ぐ」)。
事業会社からの効率的な経営情報収集やグループ間での取引先情報の共有、グループ間での資金の有効活用支援など、今後の連結経営に必要となる機能を拡充していく。