サイボウズ「kintone」がUI刷新、“仕様書のない”デザイン設計の裏側

羽野三千世 (編集部)

2016-08-03 15:41

 サイボウズは8月に、業務アプリケーション開発基盤サービス「kintone」のアプリ作成画面のデザイン刷新を予定している。kintoneといえば、仕様書を用意せずにユーザーと開発者が一緒にシステムをつくる「対面開発」の基盤として認知度が高まっているが、kintoneそのもののUIも、“仕様書を用意しない”プロセスでデザイン設計がなされているという。


サイボウズ デザイングループ マネージャー 柴田哲史氏

 8月2日に開催されたサイボウズの技術説明会で、同社のデザイングループ マネージャーの柴田哲史氏が、今回のkintoneの画面デザイン刷新について、プロジェクトの裏側を紹介した。

 柴田氏は、1995~2004年にかけて日本マイクロソフトのユーザビリティラボに所属しており、Word 95~2003、Outlook 2000~2003の日本向けのUI設計に携わった経歴をもつ。2015年7月にサイボウズへ入社し、同社の製品サービス全般のUI設計を担うデザイングループを立ち上げた。デザイングループでは、デザインを検討するだけでなく、ユーザビリティやアクセシビリティに関するリサーチも行っている。

 「一般的なUI設計では、仕様をつくってからデザインを変えますが、サイボウズのデザイングループでは、まずプロトタイプ制作して、ユーザビリティテストを繰り返しながら最終的なデザインを決めていくプロセスをとります」(柴田氏)。この手法は、MicrosoftやAdobeなどでも取り入れられているやり方だと柴田氏は説明した。

 kintoneの8月アップデートで実装される予定の新しいUIも、このプロセスで設計された。新UIでは、アプリ名の入力とデータ入力のフォームのみ決定すれば、アプリをすぐに利用できるような改善を行っている。「これによって、アプリ作成のステップ数を30%削減しました」と柴田氏。


kintoneの8月アップデートで実装される予定の新UI

 この新UIの設計では、まず、2015年10月にプロトタイプ版を制作。その後、上海と日本で既存ユーザー20人程度に対してヒアリングを実施した。仕様がFixしたのは2016年5月。翌6月に日米で計19人を対象にユーザビリティテストを行っている。ユーザビリティテストでアプリ作成時間を計測した結果、旧UIと比較して、新UIではアプリ作成にかかる時間が30%削減されたという。

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