セゾン情報システムズは8月24日、ファイル転送ミドルウェア「HULFT(ハルフト)」のファイル転送をインターネット経由で安全に利用できるクラウドサービス「HULFT-WebConnect Ver.2.0」を8月25日より販売開始すると発表した。価格は、初期費用無料、基本サービス月額は月の転送容量上限100Gバイトの「BASE 100GB」が3万円、同500Gバイトの「BASE 500GB」が4万2000円、同1Tバイトの「BASE 1TBが5万7000円(いずれも税別。各プランには異なるネットワークグループごとに必要なコネクションIDが10個付属)。
今回のメジャーバージョンアップでは、ユーザーごとに異なるさまざまな環境でのデータ連携ニーズに応え、コマンドラインインターフェイス(CLI)とWeb APIが追加された。これまではデータ連携を行う双方のシステムにHULFTとエージェントプログラムが必要だったのに対し、CLIやWeb APIを使ったカスタムクライアントを実装することができるという。
例えば、日本本社と多数の海外拠点や外部取引先間でデータ連携を行う場合に、現地での構築作業に関わる期間やコストが課題となっていたが、このようなHULFTの導入が困難な拠点側に対しカスタムクライアントを実装することで、導入に関わる作業期間やコストや導入に関わるリードタイムを短縮できるという。
新バージョンの主な特徴は以下の通り。
Web API公開
HULFT-WebConnectのファイル転送機能と管理機能の一部をWeb APIとして公開。Web APIを活用することで、HULFTの転送機能や送受信履歴等を組み込んだ業務システムの構築が可能(なお、Web APIの利用には独自クライアントを開発する必要があるほか、ファイル転送機能に一部制限がある)。
CLIの提供
Web APIとの通信機能を内包したCLIを新規追加。HULFT導入が困難なシステム側にCLIをインストールし、バッチジョブ実行することで、CLIとHULFT間での簡易的なファイル転送が可能となる。CLIは、HULFT-WebConnectの利用契約締結により、サービスサイトから無償でダウンロードできる。
セキュリティ機能強化
Web APIやCLIの追加に関連し、HULFT-WebConnectのAPIを利用するためのAPIキー機能を追加。APIキーにサービスの利用期限や機能制限などを設定することで、セキュリティポリシーに準じた適切な運用を実施できる。また、クライアント種別による通信の可否設定やクライアントの自動アップデートなどといった機能も追加した。
同社では、HULFT-WebConnect Ver.2.0により、海外拠点とのデータ連携や、取引先/仕入先とのEDIを低コストで実現することが可能になるとしている。VPN回線とHULFTを利用する場合、海外拠点にIT担当者が出張して設定するか、または海外現地インテグレーターに対する作業依頼が必要となり、環境構築のリードタイムと作業コストが発生していたのに対し、このサービスのCLIを利用することで下図のように運用を効率化できるとのこと。CLIは契約したHULFT-WebConnectの管理Webサイトからダウンロードして任意の場所に移動するだけで簡単にセットアップでき、TLSによる経路暗号化と有効期限の設定や機能制御などクライアント運用に関わる独自のセキュリティ維持機能を実装しているため、インターネット運用による海外との容易な展開が可能になるという。
HULFT-WebConnect Ver.2.0により既存環境を拡張したEDI環境の構築例