IDC Japanは8月4日、クラウドサービス、ビッグデータを含むビジネスアナリティクス、エンタープライズモビリティ、ソーシャルビジネスの4分野からなる「第3のプラットフォーム」向けのITサービス市場についての支出額予測を発表した。国内ITサービス市場全体が2015~2020年の年平均成長率(CAGR)が1.7%と低成長で推移する中で、第3のプラットフォーム向けITサービス市場の各分野は非常に高い成長率で拡大すると予測している。
4分野のうち特に大幅な成長が見込まれるのがクラウドサービス向けITサービス市場で、2015年の支出額規模はすでに3848億円に達しているが、2015~2020年のCAGRが34.9%と非常に高い水準を維持し、2020年には1兆7205億円になると予測している。
また、国内ビジネスアナリティクス向けITサービス市場も、同期間のCAGRが8.9%とクラウドサービス向けには及ばないものの、国内ITサービス市場全体と比較すると高い成長率で拡大を継続すると予測。さらに、国内エンタープライズモビリティ向けITサービス市場も同期間のCAGRが21.6%、国内ソーシャルビジネス向けITサービス市場は規模が小さいものの、やはりCAGRが30.2%と高水準の成長が予測されている。
さらにIDCでは、これら4分野全てで、2019~2020年に前年比成長率が再上昇すると予測している。その主要な原動力となるのが、企業や産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)。予測期間の後半にかけて、企業や産業のDXに対する取り組みが本格化することにより、それを支えるプラットフォームとなる第3のプラットフォームの導入や運用を支援するためのITサービスが拡大していくとした。
第3のプラットフォーム向けITサービス市場は、このDXを原動力として相互に影響しつつ全分野で高成長を継続する一方、従来型の「第2のプラットフォーム」向けITサービス市場は縮小に向かい、予測期間の後半にかけてその縮小幅は拡大していくとした。
「ITサービスベンダーは、第3のプラットフォーム向けITサービス市場におけるサービスが、既存システム領域の第3のプラットフォームへの対応を支援するものと、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援に区別されることを理解し、それぞれに最適なサービスを提供していくことが重要である」と、同社ITサービス シニアマーケットアナリストの植村卓弥氏はコメントしている。
国内第3のプラットフォーム向けITサービス市場支出額予測、2015~2020年