インテルとARMの提携にみるテクノロジ業界の今--現実主義的アプローチが主流に

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年08月24日 06時30分

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 8月第3週に開催されたIntelの開発者向けイベントIntel Developers Forum 2016では、「現実主義」とでもいうべき取り組みが多く発表された。同様のアプローチは、ほかのエンタープライズ向けテクノロジ大手企業でもよく見られるようになっているが、この現実主義的イノベーションのアプローチは、顧客にもよい影響を与える可能性が高い。

 まず、簡単にIntel Developer Forumを振り返ってみよう。最大のニュースは、今後IntelとARMがより緊密に協力し、Intelのファウンドリ事業でARMのプロセッサを受注するという計画が発表されたことだろう。この取り組みは、Intelにとってプロセッサ生産事業への道を切り拓くものだが、同時に、同社のモバイル事業が期待していたほどはうまくいっていないことも示している。Intelはまた、パートナーやデベロッパーへの働きかけも強めている。確かに、仮想現実や拡張現実、視覚処理などの興味深い取り組みもあるが、一般的なテーマは現実的イノベーションだった。

 Canaccord GenuityのアナリストMatthew Ramsay氏は、調査ノートの中で次のように述べている。

 2つの印象が強く残った。1)IntelのイノベーションはCPUやnノードシリコン、メモリ、モデム、ファブリック、FPGA、ソフトウェアなどのイノベーションなど多岐に渡っているが、今後も大きく多様化していくだろう。2)最高経営責任者(CEO)Brian Krzanich氏や、最近採用されたMurthy Renduchintala氏(元Qualcomm)の発言には、重要市場でのIntelの競争力や、社内、社外のIPの利用に関して、これまでにはあまり見られなかった市場現実主義的認識が見られた。

 多くのアナリストは、IntelとARMのパートナーシップは、数年前には考えられなかったと述べている。

 同社がデータセンターや、モノのインターネットなどの新しい市場に同社が取り組みを集中させる現実主義を取っているのを見ると、そういった過去の物語は終わったのかもしれない。しかし、Intelの現実主義的アプローチは、大手テクノロジ企業が、単独ではスタックを支配することはできないことを悟った例の1つに過ぎない。考えてみて欲しい。

  • 長年激しい競争を繰り広げてきたIBMとCiscoは、今では協力して製品を作っている。
  • Ciscoと言えば別の話もある。ネットワーク機器大手である同社は、ソフトウェア企業にならなければならないということに気付き始めている。Ciscoは低成長事業の従業員を5500人削減し、セキュリティやIoT、コラボレーション、次世代データセンター、クラウドなどに再投資している。同社のCEOであるChuck Robbins氏は、Ciscoは「これらの行動によって削減された費用のほぼすべてを、これらの事業に再投資する予定であり、今後も将来成長が見込まれる分野への積極的な投資を継続する」と述べている。
  • SalesforceとMicrosoftは、2社間の競争がますます激しくなっているにも関わらず、お互いのツールを融合させるパートナーシップを結んでいる。この2社は、LinkedInの買収でも競合した関係だ。
  • Microsoftの現実主義的アプローチは、これまでになく強まっている。Microsoftはオープンソースコミュニティで重要な役割を担うようになっているし、Appleの「iOS」や「Android」向けにも「Office」を提供している。また同社はかつて、Windowsと強く結びついていた。それが今では、Azureや、生産性ソフトウェアに関する戦略の陰に隠れて、WindowsはMicrosoftにとってほとんど二の次といっていい存在になっている。

 クラウド企業が互いの製品の相互運用性を高めているなど、現実主義的な取り組みは枚挙に暇がない。新たな流行語が生まれそうな勢いで、業界全体で現実主義的な取り組みが進んでいると言っていいだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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