総合人材サービス・パーソルグループのインテリジェンス ビジネスソリューションズ(以下、IBS)は9月30日、企業のテレワークの課題である、労務実態の把握が可能となる「労務可視化ツール」の提供を同日より開始すると発表した。本ツールは、国内初となるログ管理による労務に特化したツールという。
第3次安倍第2次改造内閣の発足に伴い、「働き方改革」が最大のチャレンジとして掲げられている。少子高齢化による労働力が問題視され、長時間労働の是正や、同一労働同一賃金の確保、高齢者の就業促進、テレワークの推進などへの取組みを掲げたものだ。本政策には在宅勤務やサテライトオフィスなど、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現するテレワークも含まれるが、導入を検討している企業や既に導入している企業では、様々な課題を抱えており、導入が進まない、導入後に運用が回らず諦めてしまった、という企業も少なくない。また、テレワークを利用する社員(以下テレワーカー)においても、課題を抱えている。
それぞれの主な課題は以下の通り。
- テレワークを導入、もしくは導入を検討している企業の課題
- テレワーカーが抱える課題
・不正アクセスや情報漏えい等の情報セキュリティに関するリスク
・社員の労働時間等の勤怠の不可視化による労務管理
・公正・適正な人事評価
・導入による効果の把握
・社員同士のコミュニケーション不足による生産性の低下
・運用・導入にかかる膨大なコスト
・就業時間関係なくいつでも仕事ができてしまうため、時間外や休日を問わず、長く働きすぎてしまう
・上司や同僚に、仕事をしていないと思われていないか不安を感じている
・適正に評価されていないのではないかという不安を感じている
こうした課題に対し、情報セキュリティのためのログ管理や、ボタン操作による在席確認を行うツールは存在しているが、在宅勤務のログ管理による労務実績を可視化するツールはこれまで存在しなかった。
そこでIBSでは、上記の一般的な課題のほか、2015年11月より実施している自社の在宅勤務制度で明らかになった課題を踏まえ、テレワークにおける労務状況の見える化をコンセプトとして、今回の労務可視化ツールを開発したという。

本ツールでは、テレワーカーのPC上の操作をはじめとする様々なログを取得し、それらの情報をダッシュボードに表示させることで、管理者はクイックに労務管理に必要な情報を得られるようにする。これにより低コストかつ手軽に、テレワークの就業状況の閲覧が可能になるとのこと。
具体的な機能は以下の通り。
・始業/就業時間などの作業時間の合計をPC上で表示することで、超過勤務や労働時間の不足を検知
・残業予測を表示することで超過勤務を事前に防止
・利用アプリや、ウィンドウタイトルの表示、アプリの利用時間、利用割合の取得により、作業の適正や適切な評価を実現
・一定の残業時間を超えているテレワーカーをまとめて表示することで翌日、翌週、翌月の残業を抑制
・ボタン一つで対象者の画面を切り替えられ、複数名の利用者をクイックに確認可能