10月4~7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」。今年は、CPS(サイバーフィジカルシステム)&IoT(モノのインターネット)をテーマに、さまざまな製品、技術が紹介された。
さくらインターネットは10月5日、同イベントのカンファレンスで「『さくらのIoT Platform β』発表会~さくらインターネットが取り組むIoT~」と題した説明会を開催し、同社が開発中の新サービス「さくらのIoT Platform」ベータ版の予約受付を同日から開始すると発表した。
今回ベータ版に達した「さくらのIoT Platform」
「さくらIoT Platform」は、“データを迎えに行くという発想”を元に、組み込みデバイス~顧客サービスまで、IoTの始端から終端までの通信環境とデータ保存・処理システムを提供するものだ。同サービス用に閉域網を構築し、データの送受信は「さくらのIoT通信モジュール」からこの閉域網へのみ可能になっている。
さくらのIoT通信モジュールが内蔵するLTE通信モジュールは、量産性を考慮し、基盤間コネクタ接続を採用したカテゴリ1対応LTEモデムを選定。電池で数カ月間の運用が可能だが、GA(一般提供版)では「年単位の運用を目指す」(さくらインターネット IoTチーム 椚座淳介氏)という。また、消費電力の軽減など顧客の需要に対応するため、920MHz帯/2.4GHz帯モジュールも開発中だ。すべて同じ位置にコネクタを備えることで互換性を維持している。
通信モジュールに、GPS情報の取得機能やファイル配信機能を持たせることで、ファームウェアやプログラムのアップデートに対応。センサなどの軽微なデータだけではなく、組み込みデバイスの更新などにも利用できる。同社 執行役員 技術本部副本部長 江草陽太氏は、「単にパーツを提供するのではなく、通信モジュールから閉域網、(さくらインターネットのサービスを用いた)データ保存/連携サービスを一体として提供する統合型プラットフォーム」と本製品をアピール。「デバイス間の接続は専用モジュール+自社製SIMカードで構成された通信モジュールのみ可能。インターネットからはAPI経由でのみ接続を許可しているため、セキュリティ面は万全」(江草氏)だと説明した。
左から、さくらインターネット IoT事業推進室 室長 山口亮介氏、同社IoTチーム 椚座淳介氏、同社執行役員 技術本部副本部長 江草陽太氏
2月から受付を開始していたアルファ版は、ベッドごとに入眠後の身体動揺を測定するソリューションや、スマートロック系ソリューションなどに利用された事例がある。今後はハウステンボスと協業し、施設内のごみ箱にセンサを取り付け、自動的に回収する実証実験に参加するという。
ベータ版では、「IBM Bluemix」や「AWS IoT」など各サービスを利用できる。加えて、さくらインターネット フェロー 小笠原治氏は同日、日本マイクロソフトとの協業を発表し、MicrosoftのIoTプラットフォームやAzureとも連携していくことを明らかにした。「Windows 10 IoT Coreは完全無償、Microsoft Azureは従量制と気軽に試すことができる」(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 大谷健氏)
「さくらのIoT Platform」に関する通常およびキャンペーン価格
さくらIoT Platformの通信モジュール本体の価格は9960円。1024ビットのデータ送受信を1RM(Relation Message)、さくらのIoTプラットフォームの機能を利用するごとに1RP(Relation Point)を消費する仕組みで、月額最低利用料として100円/通信モジュールを設定している。ただし、ベータ期間中はキャンペーンとして本体やオプションを半額で提供し、RPは消費しない。