田中克己「2020年のIT企業」

さくらインターネットが垂直統合を目指す理由

田中克己 2015年08月31日 06時30分

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 「5年後、10年後にネットワークエンジニアがいるのは、3大キャリアと当社を含めた2社だけになる」。多くのIT企業に、インターネットインフラを駆使したサービスを開発するエンジニアがいなくなると予想するのは、インターネットインフラ事業を展開するさくらインターネットの田中邦裕社長だ。同氏はインフラ事業の垂直統合によって成長を遂げる作戦を練る。

成長の源はエンジニアにあり

 さくらインターネットは「7年前(2008年)にデータセンター事業者を名乗ることをやめた」(田中社長)。インターネットインフラの構成要素であるデータセンターとサーバ、ネットワークの3つに経営資源を振り向けているからだ。年商約100億円の同社によって、資本投下先を絞り込まなければ戦えない事情もあるだろう。事業の分散は、経営弱体を招く可能性もある。

 事実、経営資源が枯渇したり、ラックの安売りで疲弊したりするデータセンター事業者やクラウド事業者は、他社のデータセンターを使ったり、サーバを借りたり、運用をアウトソーシングしたりする。自社開発をあきらめて、他社のサービスを組み合わせて提供することもある。「水平分業なのだから、他社の素晴らしいインフラやサービスを利用するのは当然だろう」と答えそうだが、サービスを開発する力を失ったら差異化を図れるのだろうか。

 さくらインターネットも約8年前に債務超過に陥り、回線事業を売却した経緯がある。そこで、データセンターやサーバ、ネットワークをそのまま販売する資本集約型ビジネスを展開しないことにした。その結果、場所貸しのハウジングサービスは縮小し、今は売り上げの2割程度に減ったという。

 「業界から驚かれたが、それでもバックボーンネットワークと回線エンジニアを社内に残した」(田中社長)。データセンターやサーバ、ネットワークの技術力に、企画開発力と運用力を備えた垂直統合を実現するうえで、優秀なエンジニアとインフラの確保が重要だったからだ。

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