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さくらインターネットが垂直統合を目指す理由 - (page 2)

田中克己

2015-08-31 06:30

知識集約型産業としての認識

 「この産業は労働集約ではない。知識集約型なのだ」(田中社長)。人件費の抑制を理由に、企画開発や運用を含めたインターネットインフラ関連の一部を子会社などに外注すれば、技術イノベーションを起こすのが難しくなる。加えて、新しい発想も生まれないと考える田中社長は「5つの要素(データセンターとサーバ、ネットワークに、企画開発と運用)を、自社に持っている企業は少ない」と自慢する。

 もちろん、優秀な人材の採用にも務める。派遣や非正規社員を正社員や直接雇用に切り替えており、正社員は2年前の約180人から約300人に増えている。データセンター事業者やクラウド事業者を退職したネットワーク・エンジニアなどがさくらに転職してくることもあるという。

 ただし、さくらは事業の幅を広げない方針。複数の事業を手がけるには、異なるスキルを持つ人材と投資が必要になるからで、例えば競合他社のようなSIやコンサルティング、ホームページ制作などに手を出さない。

 一方、サービスの幅は広げる。現在、インフラサービスと専用サーバ、クラウドサービス(IaaS)、レンタルサーバの4つを展開する。例えば、データセンターとサーバ、ネットワークをベースに、運用保守と開発を加えるとクラウドサービスになる。今持っているエンジニアとインフラを活用して、新しいサービスを作り上げていく考え方である。

 「5年後、サービスを提供する企業が減り、生き残った企業の市場シェアが拡大し、売り上げも増える」。田中社長はそう予想し、優秀なエンジニアの雇用と研究開発に取り組んできた。2009年7月に設立した研究所は、長期的な視点からインターネット・インフラの研究を行っている。

 現在の研究テーマは、イノベーションに最も重要な高速ネットワーク技術と分散技術、データベースファイルシステム、ストレージ技術、ファシリティ技術の5つで、コンピューティング環境の変化に対応するためでもある。「ムーアの法則が終わる」(田中社長)と、分散技術などの重要性が増す。

 ネットワークやデータの分析なども重要になる。「5つのテーマについて研究しなければ、当社の強みがなくなる。10年後に備えた研究は、生き残るためでもある」(同)。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。

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