垂直統合型システムの主な導入利点は「システム管理ツールの削減」--IDC調査

NO BUDGET

2015-05-19 15:02

 IDC Japanは5月18日、国内企業におけるインテグレーテッドシステムの受容性に関する調査結果を発表した。垂直統合型システムなどとも呼ばれる。

 インテグレーテッドシステムの評価基準として重視されるのは「セキュリティ」「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」「災害対策」の3項目で、主な用途としては「クライアント仮想化」「特定のサーバアプリケーション用基盤」「全社共通IT基盤」「クラウドIT基盤」が全体の40%以上という。


統合型システム製品の用途はどれですか?(複数選択可)

 IDCでは、サーバ、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器、ソフトウェアの組み合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージを、インテグレーテッドシステムと定義している。

 さらに、このうち特定ワークロードに最適化したものを「インテグレーテッドプラットフォーム」、用途を限定せず分散型ワークロードを広くサポートするよう構成されたものを「インテグレーテッドインフラストラクチャ」に分類している。

 インテグレーテッドシステムの導入メリットに関する認識を見ると、「システム管理ツールの削減」を指摘する回答が最も多いという結果だった。

 一方で、インテグレーテッドシステムを評価したが導入しなかった回答者に絞って見ると、導入メリットとして「ITスタッフの作業効率の改善」を指摘する回答が突出して高かった。

システムの混在により導入を見送るケースが多い

 一般に、インテグレーテッドシステムを導入する場合、一度にすべてのアプリケーションをインテグレーテッドシステムに移行するといったことは通常しないと考えられ、結果として従来型のシステムとインテグレーテッドシステムが混在してしまう。そのため、逆にITスタッフの作業効率は改善しないと判断し、導入に至らないケースがあると推測される。

 インテグレーテッドシステムの評価基準として重要な項目を聞いたところ、上位3項目は「セキュリティ」「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」「災害対策」となった。

 インテグレーテッドシステムでは、仮想化されたITリソースを多くのアプリケーションで共有することになる。特に、データベースを主用途とする場合、多くのデータベースサーバが統合されることになる。

 これにより、セキュリティ上の脆弱性や災害によるシステム停止による影響範囲が大きくなることから、アプリケーションごとにシステムを個別最適化して導入するのに比べて「セキュリティ」や「災害対策」に対する評価はさらに重要度を増していると考えられる。

 また、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器を販売から保守サポートまで一元的にパッケージ化したものがインテグレーテッドシステムであることから、「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」を評価基準として、重要視していると考えられる。

 インテグレーテッドシステムの用途を見ると「クライアント仮想化」「特定のサーバアプリケーション用基盤」「全社共通IT基盤」「クラウドIT基盤」の回答率がそれぞれ40%を超えた。このうち「クライアント仮想化」は、Windows XPのサポート終了を契機としてインテグレーテッドシステムを活用しての導入が進んだと考えられる。

 また、「特定サーバアプリケーション用基盤」は、インテグレーテッドシステム採用のメリットを従来型のサイロ化したシステム更新などで、導入工数削減に生かしたと考えられる。

 なお、「導入済み」と「導入予定あり」の回答結果を比較すると、今後は、「クラウドIT基盤」としてインテグレーテッドシステムを検討する企業が、これまでよりも相対的に増加する可能性がある。

 IDC Japan サーバ グループマネジャーの福冨里志は以下のようにコメントしている。

 「ユーザー企業のIT予算按分は、従来型ITアウトソーシングや従来型自社運用からクラウドへと不可逆的にシフトすることが予測される。 パブリッククラウドプライベートクラウド向けに最適化されたインテグレーテッドシステムの販促にも注力する必要がある」

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