IDC Japanは5月12日、国内企業のIT購買行動変化に関する調査結果を発表した。IT部門200社のうち、「ユーザー部門が管理するIT予算(部門IT予算)がある」という回答が46%に上ることが分かった。
クラウドやモビリティ、アナリティクス、ソーシャルを柱にした。いわゆる“第3のプラットフォーム”では、クラウドなどの標準的なサービスを利用する場合、これまでのようにITの導入や運用にかかわる専門的な知識が必ずしも必要ということはなく、ユーザー部門がIT部門に依存しなければITを利用できないという時代ではなくなってきている。
非IT部門におけるIT予算の有無(IDC Japan提供)
今回の調査でユーザー部門が管理するIT予算があると認識しているIT部門は46%に上ることが分かった。ユーザー部門別の内訳をみると、営業/販売部門に集中し、部門IT予算がある企業の44%を占めている。また、部門IT予算による支出項目の上位は「サーバ/ストレージ」「PC」「既存システムの運用保守」となっており、業務効率の向上とコストの削減を重視する傾向がみられる。
部門IT予算の今後について「増加する」と回答した企業は、IT部門の42%、ユーザー部門の31%だった。逆に「減少する」と回答した企業は、IT部門の12%、ユーザー部門の9%で、部門IT予算は全体として増加する見通しであることが分かった。この結果から、IDCでは、第3のプラットフォームへのIT投資はさらに拡大するとみている。
ITをユーザー部門に任せてしまうことは、重複投資やシステム連携の不備、セキュリティリスクの増大が発生する懸念もある。これは回避すべきであり、IT投資の効果を最大化させる上でも、IT部門による支援や全社視点でのガバナンスは必要であるとIDCでは考えている。部門IT予算がある企業の19%ではIT部門による把握や関与がないとしており、シャドーITの状態となっていることに注意する必要がある。
同社ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は以下のようにコメントしている。
「第3のプラットフォームの普及により、IT部門とユーザー部門の関係性が変化するなか、今後とも拡大が見込まれる部門IT予算を企業の競争力の強化に寄与させるためには、全社一体となったIT投資への取り組みが必要であり、そのためには、IT部門とユーザー部門が相互理解を深め、協力関係を構築することが肝要である。ユーザー部門はIT投資により積極的に関与すべきであり、一方、IT部門はガバナンスを効かせつつも、ユーザー要望を迅速に取り入れたシステム展開を図っていくべき」
国内企業のIT部門とユーザー部門を対象に3月に調査。有効回答はIT部門200社、ユーザー部門400社となっている。