テレワークで社員1人あたりの売上高が26%向上、日本MSが「働き方改革週間2016」

阿久津良和

2016-10-19 18:25

 日本マイクロソフトは10月17日から21日まで、日本におけるテレワークの推進への貢献を目指し、「働き方改革週間2016~テレワークでもっと活躍できる!~」を実施する。初日の17日に記者会見を開催し、「学ぶ」「実践する」「応援する」の3つのカテゴリで833の賛同法人と共に、テレワーク推進に向けたチャレンジをすることを明らかにした。


左から、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター担当 織田浩義氏、日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏

 同社は2011年に本社を品川へ移転したあと、人事制度をはじめとするさまざま改革を続けていた。その一環として、2011年から昨年まで継続して「テレワーク週間」を設け、自社に限らず企業や自治体、社団法人などの賛同法人と共に取り組んできた。日本政府も2016年11月1日から「テレワーク月間」を実施し、働き方の改革実施を主唱している。このような背景を踏まえて同社は、今年も同日から約1週間、テレワーク推進の取り組み「働き方改革週間2016~テレワークでもっと活躍できる!~」を実施する。

 同社 代表取締役 社長 平野拓也氏は、社長室内の会議室に上下可動式テーブルを設置し、皆が立って会合を行うスタイルに移行したと説明。その結果として参加者の集中力が増し、会合時間の短縮や参加者がディスプレイの前に立って積極的に説明するなど、多くの改善が見られたという。

 また、自社が2011年から取り組んできたワークスタイル改革に伴い、ワークライフバランス(社員満足度調査結果)は40%向上し、社員からの高い評価を得た。また、事業生産性(社員1人あたりの売り上げ)も26%増加するなどビジネスへの効果が出ている。その成果として、2015年には厚生労働大臣表彰「輝くテレワーク賞」優秀賞を、2016年には情報化促進貢献個人等表彰「総務大臣賞」を授賞。5月には就業規則の変更とテレワーク勤務制度を変更し、「社員1人1人やチームが柔軟な時間で働ける」(平野氏)環境を構築した。

 また、新たな事例として日本航空(JAL)が「Microsoft Surface Hub」「Office 365」などを活用したワークスタイル変革を推進していることを今回発表した。JALは2015年度からワークスタイル変革推進室を新設しているが、この取り組みを日本マイクロソフトは積極的に支援してきたという。


日本マイクロソフトの品川オフィス1Fに設置したテレワークスペース

 今年の働き方改革週間に参加する法人数は、昨年から3割増の833法人。この数字について平野氏は、「昨年は呼び掛けから実施まで約3カ月だったが、今年は約1カ月半。(働き方改革というテーマに)大きな関心を集めている。昨年は『学ぶ』という賛同法人が多かったが、今年は『学ぶ』『実践する』(と回答した法人)がほぼ同数」だと説明した。

 なお、働き方改革週間2016の呼び掛けが、8月30日の「Japan Partner Conference 2016」から始めたことも相まって、参画法人の40%は日本マイクロソフトのパートナー企業であることも明かした。さらに、賛同法人の64%が、前述した日本政府のテレワーク月間にも参画し、「(ワークスタイル変革は)一過性ではなく継続的な興味・関心が持たれている」(平野氏)と現状を分析した。

 昨年実施したテレワーク週間2015の社内調査結果について、同社 執行役員 常務 パブリックセクター担当 織田浩義氏は次のように説明した。在宅勤務制度の存在は把握しながらも申請の手間から利用しにくいと感じる社員が17%、育児や介護など特別な事情を持つ人しか利用できないと認識している社員が11%もいることから、前述した5月のテレワーク勤務制度の導入に至ったという。

 また、社員の意識や働き方の文化にテレワークを阻害する要因があると回答した社員は40%。「大胆に制度を変更し、継続的な推進活動を続ける必要がある。これから(ワークスタイル変革を)始めようとする企業は、より早く着手しないと社員の意識改革につながらない」(織田氏)とアンケート結果を分析した。

 テレワーク週間2015賛同法人のアンケート結果として、全体の約3割以上が10%以上の経費削減効果、過半数の企業が時間の削減効果があったと回答。生産性向上・効率化効果については1割向上と回答した企業が28%、2割向上と回答した企業は15%、3割と回答した企業は9%、全体で見ると6割の賛同法人が何らかの効果を感じている。さらに25%の企業がテレワーク導入で売り上げ向上につながると考えているという。

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