IoT機器530億台時代における、IoT向け電子認証サービスの役割 - (page 2)

大河原克行

2016-10-20 07:00

 2020年には、530億台ものデバイスがインターネットに接続されることが予想されており、これらのデバイスから得られる膨大なデータは、さまざまなクラウドシステムにビッグデータとして蓄積され、新たなビジネスの創出や、社会基盤として活用されることが見込まれている。

 だが、セキュリティ対策は、システムごとに独自方式によって実装されるため、個人情報やデータの保護の方法が異なる。システム間の相互接続によるビッグデータの結合が難しいといった課題のほか、コストがかかるなどの問題が発生している。

 また、パスワードに依存する従来型認証や暗号化では、外部攻撃に対して脆弱なため、常時、システム侵入や改竄、情報漏洩の検知が必要になり、セキュリティの確保には膨大なコストがかかる。さらに、IoTシステムでは、デバイスの持ち去りや、システムなりすましによる改ざんや妨害など、従来のPCやスマートフォンでは想定していないセキュリティの課題が発生する。

 セキュアIoTプラットフォームは、こうした課題にも対応できることを目指したIoT向けのプラットフォームだと位置づける。


サイバートラスト マーケティング本部 本部長 佐々木憲二氏

 同社の眞柄泰利社長は、「セキュリティは社会の公器。IoTの普及にはセキュアな環境を構築する必要がある」として、これをプラットフォームとして提供。パートナー企業との連携をベースに、IoTの広がりを支援していく考えだ。

 これまで同社では、さまざまな実証実験を通じて、セキュアIoTプラットフォームの活用を模索し、改良を加えてきた経緯がある。

 「3年前から、今後急速な拡大が予想されるIoTのセキュリティをどうするかということを考えてきた。そのためにサービスにまで踏み込んで実証実験を行い、その成果の集大成として、セキュアIoTプラットフォームを発表した。日本のIoTの世界をセキュアな環境にしていくための重要なプラットフォームになる」(佐々木氏)と位置づける。

 世界規模で開催されているスーパーラクビーでは、2月~7月に日本で開催された5試合において、セキュアIoTプラットフォームをベースにして、ボランティアスタッフの認証および配置の見える化に取り組み、スマートカードや、NECの顔認証システムを活用したバイオメトリクスによる本人確認、スタッフの位置情報をもとにした動態管理を行い、配置場所の把握やイベントの進捗にあわせた配置指示などを行ったという。

 また、2014年からは、北海道・旭川において、メンタルヘルスケアプログラムの実証実験を行っており、同社社員が東芝製のバイタルセンサを活用することで、都心部で働いた際のストレスと、森林浴や温泉に入りながら仕事をした際のストレスの差を比較。地方都市でテレワークによる勤務をした方が、ストレスが低いことを実証している。

 そのほか、ドローンに搭載した温度センサや赤外線センサを利用することで、ソーラーパネルの保守に活用したり、農作物の生育監視に使用したりといった事例にも取り組んできた。

 さらに自動車のセンサ情報や個人の生体情報などと連動して、自動車に対するコントロール制限や、ドライバーの運転中の状況確認などを実施。これらの情報をもとに、保険会社と連携して、保険料の設定やサービス内容の変更を行うといったことへの応用や、バス会社などでの運転手の過労防止などにも活用するという。

 9月に東京・代々木公園で行われた東京都公園協会主催の被災訓練「SHIBUYA CAMP 2016」では、避難のために移動したルートを、防災マップと照らし合わせることで、避難に最適なルートの把握に使用するといった実験も行った。

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