こんにちは、さとうなおきです。「週刊Azureなう」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
PASS Summit 2016開催
SQL Serverのコミュニティ「PASS」が、10月25日から28日に米国シアトルで年次カンファレンス「PASS Summit 2016」を開催しました。基調講演や一部のセッションの動画が公開されているので、チェックしてみてくださいね。
今回は、PASS Summit 2016から次の3つの発表をご紹介しましょう。
Azure Analysis Services:パブリックプレビューをリリース
新しいAzureサービスであるAzure Analysis Servicesが発表され、そのパブリックプレビューがリリースされました。
SQL Serverは、データ分析のエンジンであるSQL Server Analysis Services(SSAS) を提供していました。Azure Analysis Servicesは、SQL Server Analysis ServicesをベースにしたフルマネージドのPaaSです。
Azure Analysis Servicesは、即座に作成でき、料金プランに対応する専有キャパシティを使って予測可能なパフォーマンスを提供し、一時停止/再開や、スケールアップ/ダウンが可能であり、Azure Active Directoryと連携したセキュリティ機能を提供します。
Azure Analysis Servicesでは、SQL Server Management Studio(SSMS)、Visual Studio内のSQL Server Data Tools(SSDT)といったGUIツールを使えます。また、Power BI、Excel、SQL Server Reporting Services(SSRS)、主要なサードパーティーのBIツールからも利用可能です。
Azure Analysis Servicesでは、現時点では、Azure上のデータソース(Azure SQL Database、Azure SQL Data Warehouse)、(オンプレミスデータゲートウェイ経由での)オンプレミスのデータソース(SQL Server、Oracle、Teradata)がサポートされています。
現時点では、米国中南部、西ヨーロッパリージョンで、パブリックプレビューを利用可能です。
Azure Analysis Servicesによって、SQL Server、SQL Server Analysis Servicesを使ったオンプレミスのシステムを、クラウドのAzure SQL Database、Azure SQL Data Warehouse、Azure Analysis Servicesに移行できるようになりますね。
詳細は、Azure Blogのポスト「Announcing Azure Analysis Services preview」、SQL Server Blogのポスト「Top 5 Announcements at PASS Summit 2016」、Azure Analysis Servicesのドキュメントをご覧ください。
Azure Analysis Servicesの全体像
Azure SQL Data Warehouse:期間限定の無料試用版を提供
Azure SQL Data Warehouseは、SQL Serverベースのデータウェアハウスサービスです。
Azureでは無料のAzureアカウントを使って任意のAzureサービスを無料で試用できますが、Azure SQL Data Warehouseのような比較的高価なサービスでは、Azureアカウントの無料枠 (2万500円) では十分に試用できない場合があります。
今回発表されたAzure SQL Data Warehouseの無料試用版では、30日間、最大200DWU(Data Warehouse Unit)のコンピューティングパワー、最大2TBのストレージを無料で試用できます。対象のリージョンは、米国西部、米国西部2、米国中西部、北ヨーロッパ、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアです。リージョンによって価格は異なりますが、およそ20-30万円分のサービスを無料で試用できることになります。
この試用版の登録は、2016年12月31日までの期間限定ですので、Azure SQL Data Warehouseを検討されている場合は、是非年内にお試しください。
詳細は、SQL Server Blogのポスト「Top 5 Announcements at PASS Summit 2016」、SQL Data Warehouse free trialをご覧ください。
Azure SQL Data Warehouseの無料試用版
Microsoft Cognitive Toolkit(旧称CNTK):ベータをリリース
Microsoft Cognitive Toolkitのv2.0 Betaがリリースされました。Microsoft Cognitive Toolkitは、従来はMicrosoft Computational Network Toolkit(CNTK)と呼ばれていた、ディープラーニング(深層学習)のためのオープンソースのツールキットです。Azure上でも、他の環境でも利用できます。
Microsoft Cognitive Toolkitは、Skype、Cortana、Bing、Xboxなどでも利用されているツールキットです。CPUとGPUをサポートしており、効率的な並列実行によって複数GPU、複数マシンにスケールできます。v1でサポートされていた独自スクリプト(BrainScript)に加えて、Python、C++のAPIを新たに提供します。
詳細は、Next at Microsoftブログのポスト「Microsoftが、ディープ ラーニングの進展に向けてMicrosoft Cognitive Toolkitのベータをリリース」、SQL Server Blogのポスト「Top 5 Announcements at PASS Summit 2016」、Microsoft Cognitive Toolkitのウェブサイトをご覧ください。
Microsoft Cognitive Toolkitの開発に貢献したMicrosoftのFrank Seide、Chris Basoglu