さとうなおきの「週刊Azureなう」

【Azureなう 10/28号】米国大統領選のテレビ討論を感情分析

佐藤直生 2016年10月28日 11時00分

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 こんにちは、さとうなおきです。「週刊Azureなう」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。

Azure App Service:iOS向けAzure App Service Companionプレビューをリリース

 Azure App Serviceは、ウェブアプリケーションやWeb API、モバイルバックエンドをホストするためのPaaSです。「Azure App Service Companion」は、Azure App Serviceの監視、アラート表示、トラブルシューティングといった基本的な機能を提供するモバイルアプリケーションです。

 先週の記事では、Android向けのAzure App Service Companionのプレビューを紹介しましたね。今回、さらにiOS向けのAzure App Service Companionのプレビューもリリースされました。App Storeでダウンロード可能になっています。iPhoneやiPadをお持ちの方は、是非試してみてくださいね。

 詳細は、Azure App Service Team Blogのポスト「Azure App Service Companion preview now available for iOS」をご覧ください。


iOS向けのAzure App Service Companion

Azure DocumentDB:Azureポータルに「メトリックス」ブレードを追加

 Azure DocumentDBは、JSONドキュメントを格納できる、ドキュメント指向のNoSQLデータベースサービスです。

 今回、 Azureポータルで、Azure DocumentDBに対する「メトリック」ブレードが新たに追加されました。この「メトリック」ブレードには、可用性、スループット、レイテンシなどのメトリックが集約されており、SLAを満たしているかどうか簡単に確認できます。

  • コレクションの可用性とSLA
  • ステータスコードでグループ化されたリクエスト率
  • リクエストユニット(RU)/秒で計測される、消費された・プロビジョニングされたスループットキャパシティ、およびキャパシティを超過したリクエストのパーセンテージ
  • コレクションがあるリージョンで観測されたレイテンシ
  • 整合性保証を満たしたリクエストのパーセンテージ
  • 消費されたストレージとストレージのキャパシティ

 また、コレクション管理をしやすいように、DocumentDBの画面からすぐにコレクションに進めるようになり、「コレクションの追加」コマンドも追加されました。これによって、Azureポータルでの右方向へのスクロールをすることが少なくなりました。

 詳細は、Azure Blogのポスト「DocumentDB updates in the Azure Portal: New metrics blade and improved collections management」をご覧ください。


Azure DocumentDBの「メトリック」ブレード

Azure Automation:グラフィカルRunbookでのエラー処理のプレビューをリリース

 Azure Automationでは、クラウドやオンプレミスで実行される頻繁に繰り返されるタスクを自動化し、スケジューリングできます。

 Azure Automation Graphical Authoring SDKを使うと、PowerShellの複雑なコードを使用することなく、GUIベースでAzure AutomationのRunbookを作成できます。1月に、Azure Automation Graphical Authoring SDKのパブリックプレビューがリリースされていました

 今回、Azure Automation Graphical Authoring SDKのパブリックプレビューがアップデートされ、エラー処理を簡単に追加できるようになりました。

 詳細は、サービスの更新情報「Error handling added to Automation graphical runbooks」「Update: Automation Graphical Authoring SDK」、ドキュメント「Azure Automationでのグラフィカル作成」をご覧ください。


Azure AutomationのグラフィカルRunbookでのエラー処理

R Tools for Visual Studio 0.5をリリース

 R Tools for Visual Studio(RTVS)は、Visual Studio内でR言語の開発、デバッグ、可視化を可能にする、無償でオープンソースのVisual Studio拡張機能です。無償のVisual Studio Communityを使えば、R Tools for Visual Studioの環境を完全無料で構築できます。

 R Tools for Visual Studio 0.5は、6月にリリースされていたR Tools for Visual Studio 0.4の後継になります。

 R Tools for Visual Studio 0.5では、データベースへの接続やSQLの実行、SQL Server 2016向けのR言語で書かれたストアドプロシージャの作成、複数のプロットの同時作成などがサポートされるようになりました。

 Azure Machine Learninig、Azure HDInsight、Microsoft R Server、SQL Server 2016などでR言語の開発を行っている方は、是非R Tools for Visual Studioもお試しください。

 詳細は、Cortana Intelligence and Machine Learning Blogのポスト「R Tools for Visual Studio 0.5」、 Revolutions Blogのポスト「R Tools for Visual Studio 0.5 now available」R Tools for Visual Studioのドキュメントをご覧ください。


R Tools for Visual Studio 0.5での複数のプロットウィンドウ

Microsoft Cognitive Services:米国大統領選のテレビ討論の感情分析

 多数の機械学習APIを提供しているMicrosoft Cognitive Servicesの興味深い活用事例があったので、ご紹介しましょう。

 Microsoft Cognitive Servicesには、画像や動画の中の顔を基にその感情を認識するAPIである「Emotion API」があります。Emotion API は、深層学習(ディープラーニング)のCNN (Convolutional Neural Network) モデルでトレーニングされており、REST API経由で簡単に利用できます。

 今回、英国のビジネス誌「The Economist」が、このEmotion APIを活用して、クリントン氏とトランプ氏が戦っている米国大統領選テレビ討論の感情分析を行いました。3回のテレビ討論の中で、怒りや悲しみ、驚きといった感情がどのように顔に表れていたかを、時系列で確認できます。

 技術的には、The EconomistのデータジャーナリストであるBen Heubl氏が、Pythonを使って、動画をEmotion APIに渡して、JSON形式の結果をCSVファイルに保存し、Rを使って、そのCSVファイルのデータを可視化したそうです。簡単なコードでMicrosoft Cognitive Servicesを活用できることが分かりますね。

 詳細は、The Economistの記事「The many debate faces of Donald Trump and Hillary Clinton」、Revolutions Blogのポスト「Election 2016: Tracking Emotions with R and Python」、Ben Heubl氏のブログポスト「How to apply face recognition API technology to data journalism with R and python」をご覧ください。

Microsoft Researchの最近のブレークスルー

 Cortana Intelligence and Machine Learning Blogで、Microsoft Researchの最近のブレークスルーが3つ紹介されていました。

 1つ目のブレークスルーは、会話における音声認識のエラー率が、9月に報告された6.3%からさらに改善され、人間と同等の5.9%を達成したことです。The Official Microsoft Japan Blogのポスト「歴史的成果: マイクロソフトの研究者が対話型音声認識において人間と同等の成績を達成」、10月の記事「マイクロソフトの音声認識技術、聞き取り能力が『人間と同等』にまで向上」 、9月の記事「マイクロソフト、音声認識の単語誤り率で新記録--Microsoft Research報告」もご覧ください。

 2つ目のブレークスルーは、BingやAzureがFPGAを活用したAIスーパーコンピュータを使っていることです。9月に開催されたMicrosoft Igniteカンファレンスの基調講演で初めて紹介されたFPGAについては、記事「【Azureなう 10/7号】Igniteアップデート(前編)」「『Azure』を初のAIスーパーコンピュータの基盤に--MSのナデラCEO」 をご覧ください。

 3つ目のブレークスルーは、Azure上で実行したMicrosoftのゲノム配列決定手法が、以前に比べて7倍高速化されたことです。

 こういった研究のさまざまな成果が、AzureやMicrosoft Cognitive Servicesに適用され、簡単に活用できるようになるのが楽しみですね。

 詳細は、Cortana Intelligence and Machine Learning Blogのポスト「Major Breakthroughs from Microsoft Research this Week – in Conversational Speech, FPGA Acceleration & Genomic Sequencing」をご覧ください。

 ちなみに、9月には、研究部門のMicrosoft Researchは、AIを手掛ける他のグループと統合されて、新たな「Microsoft AI and Research Group」が設立されていました。プレスリリース「マイクロソフト、Microsoft AI and Research Groupを新たに設立し、AI(人工知能)の取り組みを拡充」、The Official Microsoft Japan Blogのポスト「マイクロソフトのAIの旅路における次のマイルストーン」、記事「MS、5000人規模の人工知能研究グループ『Microsoft AI and Research Group』」もご覧ください。

 それではまた来週。

佐藤直生 (さとうなおき)
1999年から、OracleでJava、アプリケーションサーバ、開発ツールなどのエンジニア/テクニカル エバンジェリストを担当後、2010年9月にMicrosoftに入社。Microsoft Azureの黎明期からエバンジェリスト/テクノロジストとしてAzureを担当。オライリーなどの技術書の監訳、翻訳も多数。
ブログ: https://satonaoki.wordpress.com/
Twitter: https://twitter.com/satonaoki

(サムネイル画像出展:経済産業省、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示4.0 国際)

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