日本IBMとナイスジャパンは11月15日、NICEの開発したリアルタイムストリーミング技術を利用して、日本IBMが「コールセンター向けリアルタイム音声キャプチャーソリューション」の提供を開始したと発表した。価格は個別見積もり。
NICEは、構造化と非構造化データを先進的な分析に活用可能にすることにより、企業のスマートな意思決定を支援するソフトウェアソリューションを提供する。同社の通話録音テクノロジは、世界各国の大手金融機関など高いレベルのコンプライアンス順守性能が求められる企業などで採用されている。
同ソリューションは、NICEが開発したリアルタイムストリーミング技術のソフトウェア「NICE Real Time Voice Streaming」を利用し、複数の通話から発生する音声をリアルタイムでデータとして利用できるようにするもの。これらのデータは、IBM Bluemix上で活用しやすいようにデータを変換し、IBM Watsonの音声認識技術と質問応答システムと連携できる。これにより、企業の迅速かつ的確な顧客対応を支援し、コールセンターをよりセキュアなものにするという。
現在、コールセンターで音声データを取得する方法としては、オペレーターが利用するPCにUSBで接続された音声分岐装置を経由してサーバに音声データを送信する方法が一般的だ。しかし、コールセンターでは個人情報が扱われるなど、セキュリティ上の都合でUSB接続の利用が難しい環境も多く、追加のPCを利用してセキュリティを確保するといった対応が求められていた。
また、オペレーターの各席に音声分岐装置を配置するため、1台ごとの調整や保守の負担も課題となっていた。同ソリューションでは、こうしたUSB接続の音声分岐装置の課題を解消するものとなる。
本ソリューションを活用することで、コールセンターのオペレーターは、顧客との通話中に通話内容を確認したり、問い合わせ内容に関連した回答やマニュアルを閲覧し、問い合わせに対する最適な回答を返せる。また運用についても、音声分岐装置を各席に配置する必要がないため、セキュリティの確保や、機器の調整・保守にまつわる負担を軽減できる。
今回採用された音声リアルタイムストリーミング機能は、録音機能を追加することにより、ストリーミングと録音を同一サーバ上で利用でき、サーバ台数の削減や運用負荷の低減といったTCOの最適化を図ることが可能。また、今後、クレジットカード業界のグローバルセキュリティ基準であるPCI/DSS準拠など、通話録音と同様のセキュリティレベルを適用していく予定とのこと。