ALSOKは11月14日、道路のポットホールや段差などといった路面状態をモニタリングし、モニタリング情報から効率的な舗装修繕計画を策定する「道路モニタリングサービス」を発表した。自治体などの道路管理者が、路面の異常箇所を早期発見し、補修することで住民サービスの向上につなげられる。
また、効率的な舗装修繕計画による予防保全に取り組むことで、道路維持管理おけるトータルコスト削減を図る。12月1日から販売を開始し、サービス提供開始は2017年3月ごろの予定。
JR博多駅前の道路が陥没する事故が起きるなど、近年、社会インフラの老朽化が大きな社会問題となる中で、ALSOKは2014年度より内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)インフラ維持管理・更新マネジメント技術」において、JIPテクノサイエンス、東京大学が進めている「インフラ予防保全のための大規模センサ情報統合に基づく路面・橋梁スクリーニング技術の研究開発と社会実装」の実証実験に参画し、道路の維持管理に資するサービスの検討を進めてきた。
具体的には、ALSOKの車両に測定機器となるスマートフォンを設置し、走行から得られる加速度情報を分析することで、IRI値(International Roughness Index:舗装の乗り心地を客観的に評価する指数)の算出および路面の異常箇所(ポットホールや段差など)の検出を行い、路面の劣化箇所を安価で効率的にスクリーニングする技術を開発。ALSOKは今回、この技術に実証実験で得られた運用ノウハウを合わせ、サービス化した。
道路モニタリングサービスでは、100m区間ごとに区切った道路の路面状態(IRI値)、局所的な異常箇所をGIS地図上で色分けして表示、現場で撮影した実際の画像も表示できるほか、年1回の書面レポートも提供する。
モニタリングサービスによるアウトプットのイメージ
モニタリングサービスによる路面画像確認イメージ
また、併せて提供する舗装修繕計画策定サービスでは、このモニタリング情報を活用し、損傷が著しくなってから対策を行う事後保全ではなく、損傷の早期発見・補修を行う予防保全に資する舗装修繕計画を策定する。モニタリング情報から予防保全につなげることでトータルな維持管理コストの縮減が期待できるという。
例えば、SIPの実証実験が行われた自治体A市では、道路の路面のモニタリング情報(IRI値)をベースに舗装修繕計画をシミュレートした結果、今後50年の工事費において、約63%の削減(総額約7365百万円。年換算147百万円)につながる試算結果が確認できたとのこと(一定条件下での長期シミュレーションであり、実際の費用は各種要素により変動する)。
舗装修繕計画策定サービスによる効果シミュレーション結果
さらにALSOKでは今後、さらなるサービス拡充を計画している。具体的には現在、人工知能(AI)を活用し画像から異常箇所(ポットホールやひび割れなど)を認識するサービスをNTTコムウェアと連携して開発しているほか、画像解析によるひび割れ解析サービスにも東芝と連携して取り組んでいるとのこと。今後、道路空間全体を監視するサービスにつながるよう継続的に進化させていき、安心・安全な社会づくりに貢献していくとしている。