理化学研究所と富士通は、11月16日、両社が共同開発しているスーパーコンピュータ「京」が、性能指標(HPCG)で世界第1位を獲得したと発表した。同ランキングは、HPC(高性能計算技術)に関する国際会議であるSC16で発表されている。前回、6月のランキングでは第2位だった。
HPCGは、スーパーコンピュータの性能をより多くの視点から評価するための新しい国際的なベンチマークとして、2014年からランキングが発表されている。産業利用など実際のアプリケーションでよく使われる計算手法「共役勾配法」を用いる。
今回の測定では、「京」が持つ全計算ノード82,944台が用いられた。2014年当時では逐次実行していた演算を、同時実行させることで単位時間当たりの演算回数を増やすチューニングを行い、602TFLOPS(テラフロップス)という高いベンチマークのスコアを達成した。
FLOPS(FLoating-point Operations Per Second)は、主にスーパーコンピュータの処理速度を表す単位で、1秒間に実行できる浮動小数点数値演算の回数を指す。T(Tera)は、10の12乗を表す単位。
「京」が今回マークしたスコアは、連立一次方程式の処理速度を競う別の性能指標LINPACKで「京」より上位のスーパーコンピュータよりも高い。このことから、「京」が、CPUの演算性能のみならずメモリやネットワークも含めたシステム全体としての性能バランスに優れ、産業利用など実際のアプリケーションを非常に効率よく処理できることを証明しているという。
HPCG上位10位(Graph500は、2010年から開始されたスパコンランキングで、関連性のある大量のデータを解析するときに用いるグラフ解析の性能を競ったもの。TOP500は、連立一次方程式の処理速度上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回発表している)