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Tech Summit

何に使える?マイクロソフトが「Azure Stack」を解説

羽野三千世 (編集部)

2016-11-22 07:00

 日本マイクロソフトは11月1日~2日、技術カンファレンス「Microsoft Tech Summit」を都内で開催した。本稿では、Microsoftが2017年中旬のリリースに向けて開発中の「Azure Stack」について解説したブレイクアウトセッション「デモで比較!Azure & Azure Stack」の内容を紹介する。同社 エバンジェリスト 高添修氏が、運用面でのAzureとAzure Stackの違いや、Azure Stackがどのようなソリューション向けの基盤として開発されているのかについて、説明した。


日本マイクロソフト エバンジェリスト 高添修氏

 「Azure Stack」は、Microsoftが開発中のハイブリッドクラウド運用プラットフォームだ。パブリッククラウドのMicrosoft Azureとほぼ同じ部品を使って、自社内のプライベートクラウドや、ホスティング型のクラウドなどを構築できる。1月にテクニカルプレビュー1(TP1)がリリースされ、9月に米国で開催されたイベント「Microsoft Ignite」に合わせてTP2がリリースされた。一般提供は2017年中旬を予定しており、Hewlett-Packard Enterprise(HPE)、Dell、Lenovoのハードウェアに組み込んだ形でリリースする。

 高添氏は、「Azure Stackは、IaaS、PaaS、OMS(運用管理システム)の展開スクリプトとテンプレートを、Azureとオンプレで共有するものだが、Azureのすべての機能が落ちてくるわけではない」と説明。ではAzureのどの機能がAzure Stackに実装されるのかが気になるところだが、「その議論はもう少し先延ばしにしたい」として今回のセッションでは語らなかった。

 ちなみに、現在提供中のTP2では、IaaSとして仮想マシン(Azure Virtual Machines)、ストレージ(BLOB Storage、Table Storage、Queue Storage)、ネットワーク(Azure Virtual Network、Load Balancers、VPN Gateway)が提供されており、SQL ServerやSharePointなどのアプリケーションでこれらのIaaSのサービスを実行できる。また、PaaSとしてAzure App Service(Web Apps、Mobile Apps、API Apps)とAzure Service Fabric、セキュリティサービスとしてAzure Key Vault、管理機能としてAzure Resource Manager(ARM)と専用ポータル(Azure Stack Portal)が提供されている。

 まず、高添氏はAzureとAzure Stackのユーザーインターフェースの違いと共通点について、デモを交えて紹介した。管理ポータルは別々に用意されている。下の写真はAzureのポータル画面(左)とAzure Stackのポータル画面(右)。見た目や操作は同じ作りになっている。


Azureのポータル画面(左)とAzure Stackのポータル画面(右)

 ソフトウェアを導入済みのVMを展開するためのマーケットプレースも、Azure Stackではローカルに用意する必要があるため、Azureとは別のものが提供される。「これまでに、Azure Stackのマーケットプレースへの環境提供に対して、Bitnami、Docker、Red Hat、Salt Stack、SUSE、Chef、Mesosphere、F5などがエンドースしている。今後もAzure Marketplaceへ参加するサードベンダーに対して、Azure Stackも意識してもらうよう働きかけていく」(高添氏)

Infrastructure as a Codeをハイブリッドで

 AzureとAzure Stackの管理基盤は、ARMで共通化される。ARMは、インフラの構成をコード化して作業の自動化、構成管理を行うInfrastructure as a Codeを実現する仕組み。ARMによって、コードで記述したインフラ構成を、AzureとAzure Stackの両方に自動で構築できる。ここで高添氏は、ARMのPowerShellから見たAzureとAzure Stackでの記述方法の違いを提示。「基本的なコマンドは同じ。違いは接続方法だけで、いったん管理可能な状態になればあとはほぼ同じ操作になる」と述べた。


PowerShellから見たAzureとAzure Stackの違い

 MicrosoftはARM向けに、ストレージの設定やコンテナの構成などをコードで記述した各種テンプレートをJSON形式でGitHubに公開している。「AzureとAzure Stackは共通のコードでインフラ構築ができるが、接続方法などの細かい違いを吸収するために、リソーステンプレートは別々に用意していく。まだ数は少ないがAzure Stack用もGitHubに公開済みだ」。GitHub上のAzure Stack向けリソーステンプレートは、現状ではAzureのように“Deploy to Azure”ボタン一発では展開できないので、テンプレートをダウンロードしてPowerShellなどのコマンドを使ってAzure Stackへ送り込む作業が必要になる。

 そして、パブリッククラウドのAzureには無いAzure Stack独自の機能として、管理者用メニューが用意されている。ここから、「Plan」で作成する仮想マシンのコア数やメモリサイズなどを自由に設定したり、「Offer」でPlanを束ねたりといった詳細な管理ができる。「Azure Stackは、言わばMicrosoftに管理されないAzure。Infrastructure as a Code、自動化を駆使して、自社独自のクラウドが作れる楽しさを味わってほしい」(高添氏)


Azure Stackの管理者メニュー

Azure Stackで提供予定のソリューションは?

 前述のように、Azure Stackに実装される機能の全体像はまだ明らかにされていないが、セッションの最後で高添氏は、AzureとAzure Stackのハイブリッドクラウドがどのようなソリューション基盤を想定して開発が進められているのか、ビジョンを示した。


Azure Stackのリリース時に提供が予定されているソリューション

 Azure Stackのリリース時に提供が予定されているソリューションは、TP2で実装済みのSharePointや、モバイルアプリケーション基盤、マイクロサービス基盤などに加えて、ECやデジタルマーケティング用途などの「比較的、ウェブで処理できるタイプのもの」(高添氏)だという。IoTソリューションや、HDInsightなどのビッグデータ関連ソリューションは、「国内での要望は多いものの」、Azure Stackでの提供は予定されていない。ただし、開発の優先度はユーザーからのフィードバックで決まるという。高添氏は、「Azure StackでIoTやHadoopが使いたいという場合は、積極的にMicrosoftへフィードバックしてほしい」と呼びかけた。

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