プレイヤー or マネージャー
昇給を期待し、いつかは上級職に、という前提で書きます。
社員が多くなると、ビジネスリーダーが社員一人ひとりと直接コミュニケーションできなくなるため、現場のかじ取りを任せられるマネージャーが必要になります。
では、ビジネスリーダーから見て、高い給料を払ってでも必要なインフラ技術者、エキスパート職とはどのような人物像でしょうか。インフラを人質にとって「給料を上げろ、さもなくば」という人ではないですよね。
IT、その中でも特にインフラを重視していて、技術的に重要な判断ができる人を要職につけたいという会社であれば幸せです。残念ながら、そのような会社は少ないと思います。ということは、技術者であり続けるためには、技術力に加え、他の要素でも組織に好影響を与える人間であるべきでしょう。例えば、社外に広く知られ、その人の存在によって優秀な人材が集まるというような人物には価値があります。あくまで一例ですが。
技術者としてキャリアパスが見えない、会社が用意していない、という悩みをよく聞きます。ただ、上級技術職という役割がはじめからあって常に誰かがそのポジションいる、というケースは少ないと感じます。逆に、優秀な人がいて、その人にふさわしいポジションとして役割が作られているのではないでしょうか。会社に期待しすぎないほうがいいと思います。
なお、マネージャー職に少しでも関心があるのなら、機会が訪れた際はチャレンジすることをおすすめします。私は数年間マネージャー職を務めましたが、後のキャリアに生きる良い経験でした。企業や組織、ビジネスを深く考えるきっかけになりましたし、なによりマネージャーの「視点」を実感できたことは財産です。技術者に戻ってからも、その視点で物事を判断できるようになりました。
もし自分にマネージャー職が合わないと気づいたら、技術者に戻ればいいでしょう。その間に技術習得の努力を怠っていなければ可能なはずです。職責とメンバーに誠実だったのであれば、ヒラの技術者に戻ることを恥じる必要はありません。
そして、会社の制度や文化的にそれが許されないのであれば、転職の道を選ぶことになります。
転職しない or する
転職を積極的に勧めるつもりはありません。ですが、例えばインターンシップのように“お試しで働く”ような制度が一般的ではない現状では、会社に入ってみて、配属されて初めて気づくことが山ほどあります。一種の賭けです。
今の会社で環境を変える努力をした上で、その努力が実らなかったならば、過去の判断を責めず、転職していいと思います。
以降は転職を前提に、その判断ポイントについて書きます。
日系 or 外資
日系企業のグローバル化が著しいなか、ナンセンスな論点かもしれませんが、ここでは「外資系企業は、人員削減が怖い」という誤解にだけ触れます。冷静に経済ニュースを見てみましょう。日系企業であれば、安泰でしょうか。
ユーザー or ベンダー
ユーザーとしてインフラ技術者のキャリアを積んだ人は、転職先もユーザー系企業へ、ベンダー側であればベンダーへ、というパターンは依然として定番です。ですが最近は少しずつ、その垣根を越えた転職の知らせを聞くようになりました。
特にベンダーからユーザーへというケースが多い印象です。いわゆるヘッドハンターからのオポチュニティ系メールでも、その手のものが散見されます。そして、経営に近い上級職へのお誘いも多い傾向があります。
その背景には、IT部門だけでなく事業部門もITに取り組んでいる、閉塞感を打ち破るための刺激として、などさまざまな理由があるのでしょう。1つ言えるのは、変化のために、違う視点を持った人材を外部に欲しているビジネスリーダーはいる、ということです。