展望2017

「俺IT」で攻める--成果出すために必要な“顧客”の再定義 - (page 2)

山田竜司 (編集部)

2017-01-09 07:00

内製化に成功しているのは一部

 内製化に成功しているのは今はまだ、ウェブサービスが事業の柱であるベンチャー企業が多い。こうしたベンチャーがサービスを内製するのはめずらしいことではない。では、どの点が差をつけているのか。

 成功している企業をみていて気付くのはアジャイルな開発によるサービス改善のスピードが速いことと、サービスの顧客接点をITが担っている点だ。参入が比較的容易なウェブサービス領域で、顧客体験にすぐれたサービスや使いやすいUIを刷新し続けるために、優秀な人材を抱えて内製化に至るのはある意味自然だ。まさに「ITによる売り上げの増大」を図る攻めのITそのものである。

 上記の企業とは、具体的には不動産情報サイトのHOME'Sを展開するネクストやSaaSの会計ソフト、自動家計簿・資産管理サービスともに瞬く間に大きなシェアを獲得したマネーフォワード、この4年で従業員数を60人から760人に伸ばした人材領域のネットサービスを展開するビズリーチなどである。

 これらの企業は社会問題をITで解決、効率化するという意識で起業されており、攻めのITというワードを使うまでもなく、経営資本の多くをITに割いている。ITで稼ぐという経営者の意識を強い。


 社内システムに関してもベンチャーゆえにレガシーなシステムが少なく、社内システムの大部分をPaaSやSaaSでまかなってしまうなど、思い切った取り組みが可能になる

 これに加え、これらの企業はビジネスを理解し、顧客志向のエンジニアが生まれる体制を作り出している。エンジニアの採用の段階から社会問題の解決やユーザーの満足度向上、といったビジネスサイドとの意識を共有できる能力の高い人材を集める。

 文字通りの「カスタマーファースト」で開発に取り組み、ユーザー像を細かく設定し、改善のためのスピードが速くするため、問題意識を共有しているのが特徴だ。

 ITを使う意識が強い経営者とビジネスがわかるエンジニアのタッグが成長のスピードを加速させている。機械学習を含むAIをはじめ、新たなテクノロジをサービスに組み込むことで良いサイクルが生まれる。

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