前編 ではドローンビジネスの分類やドローンの機体について解説した。後編では各国の取り組みやドローンビジネスの現状を解説する。
日本における政府・自治体の取り組み
日本でも政府・各自治体がドローンの産業利用を促すようなさまざまな取り組みがある。政府が土木測量や物流領域でのドローン活用を示唆・推進していることにはじめ、国土交通省は「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」などの施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図る「i-Construciton政策」を推進、建設現場のドローン利用を後押ししている。
国内のドローン利用事例
また、経済産業省は前述の取り組みに加えて、福島県におけるロボットテストフィールドの整備を後押ししている。このフィールドにおいては人材育成・ネットワークの形成・研究開発・現場導入・取引拡大、量産・情報発信という各事業フェーズへの支援策が用意されている。(参考:人間とロボットが共存するために--日本のロボット新戦略を見る - (page 2))
さらに、各自治体の取り組みに関しても注目に値する。御存知の通り、国家戦略特区は国際競争力の強化のため、規制改革やその他の施策を総合的かつ集中的に推進する区域である。千葉市、仙台市、福岡市を始め、多くの戦略特区自治体において、ドローンに関連する実証実験が進められている。
国内でのドローンの飛行はある程度制限されているのが現状だが、特区の積極的な取り組みのおかげで、ドローン事業者はさまざまな先進的な実証を進められる。
海外の先進的な事例
海外の動きも概観しておこう。各産業に関するドローン活用の状況やプレイヤーは次回以降で個別紹介するが、産業利用全体として最も進んでいるのは、ヨーロッパ圏とオーストラリアだ。ヨーロッパといっても一括りには考えられず、特に初期から厳しい規制を設けてこなかったイギリスやフランスにおいて活用が進んでいる状況だ。
イギリスでは、北海油田を中心とし石油・ガスプラントの点検などでドローンが使われている。物流におけるドローン活用で必ず名前があがるAmazonも、イギリスのケンブリッジ州において配送実験を始めている。
フランスでも早くから比較的緩やかなルールが定められ、一定のルールができたことで産業利用が進んだ。土木測量の分野では多数の会社が存在するし、2016年末には世界初のドローンによる郵便配達を認可している。