2016年10月17日、ZDNet Japan × TechRepublic Japanが主催するIoT時代のストレージ戦略をテーマにしたセミナー「IoT時代を見据えた、新たなストレージ戦略 〜デジタル変革が促す次なる情報基盤 ストレージを制すはIoTを制す」が開催された。基調講演と特別講演の模様をレポートする。
「デジタル化のインパクトに備えよ」PwCコンサルティング一山氏
一山正行氏
PwCコンサルティング
コンサルティング テクノロジー ディレクター
基調講演には、PwCコンサルティングのコンサルティング テクノロジー ディレクター、一山正行氏が登壇。「IoT時代に備える--デジタル化のインパクト」と題し、企業がデジタル化に向け克服すべき課題やポイント、どのようなストレージ基盤が求められているかを解説した。
一山氏はまず、IoTの現状について、製造業、都市基盤整備、ヘルスケア、運輸などを中心に取り組みが活発化しており、資金調達は過去4年間で増加傾向にあること、また、投資先としては、ホームオートメーション、ウェアラブルにBoCアプリケーションに集中していると振り返った。
「PwCの調査では、2015年度にセンサ技術への投資が増加しています。特にエネルギー業界や電力、自動車業界などが多い。また消費者の間でのスマートフォン利用時間も増え続けています。ドローンなどを見てもわかるように、今は、数年前の最新技術がおもちゃで実現される時代です。今後は、安価なロボットが労働を置き換えるなど、技術が与えるインパクトはますます大きくなるでしょう」(一山氏)
そうしたセンサー技術などから得られたビッグデータはどう活用されているのか。一山氏は、PwCがサーベイしている技術と意思決定の相関を示すマトリックスを示しながら、日本企業の現状を解説した。PwCの意思決定マトリックスとは、特定の技術を意思決定の速度と洗練度を軸にしたマトリックスにプロットしたもの。これをみると「日本企業のデータ活用の取り組みは、米国や欧州などと比較して遅れが見られる」という。
その上で、一山氏は、データ活用はIoTの取り組みのなかで重要な要素であり、適切なデータ処理基を採用して、IoTプラットフォームを構成していくことが必要だと強調した。IoTプラットフォームは、「データ収集と処理」「ストレージ」「アナリティクス」「API/インタフェース/インテグレーション」「メッセージ、キューイング」などから構成される。なかでもストレージは、DBMSに変わってNoSQLなどの技術が重要になってきており、企業がマイクロサービスに沿ったIoTサービスを提供していくうえでカギになってくるとした。
一山氏は最後に「2025年までに業界構造は大きく変化します。例えば、自動車業界ではディーラーや販売店が顧客との接点で重要な役割を果たしていますが、2025年にはデジタルな市場におけるサービスや情報の提供者が重要になってくるでしょう。これは大きなチャレンジですが、チャンスでもあります。ストレージなどの新しい技術に目を配りながら取り組みを加速させてほしいと思います」と訴えた。