ティントリ、仮想化専用ストレージにデータ保護新機能--障害の事前対応サービスも

三浦優子 田中好伸 (編集部)

2016-11-05 08:30

 仮想化環境専用フラッシュストレージ「Tintri VMstore」を開発、提供するティントリジャパンは11月4日、VMstoreで利用できるデータ保護の新機能と新サービスを発表した。技術担当副社長の首藤憲治氏は「6月に発表した、クラウド環境での利用を想定したオールフラッシュ製品上にソフトウェア側からクラウドファーストを実現する第1弾となる」と説明した。

 VMstoreがクラウドファーストにマッチする理由として首藤氏は、自律型データセンター、将来の利用状況を予測するアナリティクス機能、自動化、拡張しても変わらない管理機能、堅牢性の5つを挙げ、「アナリティクス、堅牢性の2点を実現し、よりクラウド環境での利用に最適なものとなっている」(首藤氏)と新しい機能とサービスの位置付けを解説した。

ティントリジャパン 技術担当副社長 首藤憲治氏
ティントリジャパン 技術担当副社長 首藤憲治氏
ティントリジャパン SEマネージャー 八木下洋平氏
ティントリジャパン SEマネージャー 八木下洋平氏

 実際に6月の新製品発表以降、ユーザー層は変化し、「Tintri全体で販売金額の40%がクラウドプロバイダーだが、6月以降は日本でも、半年前は3分の1ほどだったクラウドプロバイダーの売り上げが半数にまで拡大している。今回、クラウド基盤として利用できる機能の拡充により、さらにクラウド環境での利用が増えるのではないか」(首藤氏)との見方を明らかにした。

障害時に透過的に切り替え

 今回、新たに提供するのは、データ保護機能の強化と利用状況を分析、予測するクラウドサービス。

 データ保護機能として、新たにリアルタイムにデータを複製する「Synchronous Replication」と、複数のサイトにデータを複製して災害復旧(DR)対策を効率化できる「1-to-many Replication」を追加した。

 Synchronous Replicationは、VMstore同士でリアルタイムにデータを複製する。具体的には、プライマリのVMstoreに対する更新データをリアルタイムにセカンダリのVMstoreに転送する。セカンダリのVMstoreに透過的に切り替えられるようになる。

 「有事の際にプライマリのVMstoreが使えなくなっても、透過的に切り替えることでユーザーはそのままセカンダリのVMstoreから利用し続けられる」(SEマネージャー 八木下洋平氏)

 Synchronous Replicationでは、ハイパーバイザのESXiは仮想IPにマウントするだけで利用可能。サーバのリソースを使用せずに無停止(Fault Tolerant:FT)機能をストレージにオフロードできる。仮想マシン(VM)単位、VMをまとめたグループ単位で実装できる。プライマリとセカンダリの双方でデータをミラリングすることも可能だ。

 「Tintriらしい機能と言えるのが、VM単位でSynchronous Replicationを実装するかしないかを選択できること。VM単位でポリシーを変更できる」(八木下氏)

Synchronous Replicationのイメージ(ティントリ提供)
Synchronous Replicationのイメージ(ティントリ提供)

 従来から提供しているデータ保護機能「Tintri ReplicateVM」の場合、「Tintri SnapVM」でローカルにバックアップを取り、重複排除と圧縮をかけてプライマリからセカンダリに転送する。セカンダリのVMstoreでリカバリ処理をした後で「VMware vSphere」からVMを起動してサービスを再開するまでに数時間かかっていた。

 Synchronous Replicationを利用するには専用OS「Tintri OS 4.3」と管理ツール「Tintri Global Center(TGC) 3.5」が必要。ReplicateVMのライセンスで利用できる。遅延を防ぐためにデータセンター内部、100km圏内での利用を推奨しており、ネットワークとしては10ギガビットイーサネット(GbE)を推奨している。

 ReplicateVMは、VM単位で複製、転送されるデータは重複排除と圧縮をかけている。Tintri OS 4.2までは1対1、N対1の双方向で複製が取れるようにしている。Tintri OS 4.3で利用できる1-to-Many Replicationは、1対Nで複製できるようになっている。

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