マイクロサービスを支えるオールフラッシュ--いい生活CTO松崎氏が事例紹介
特別講演には、不動産業界でB2Bサービスを展開する、いい生活の常務取締役 CTO、松崎明氏が登壇。「ビジネス向けクラウドサービスにおけるオールフラッシュストレージの活用実態」と題し、同社が採用したオールフラッシュがどのような価値をもたらしているかを事例として紹介した。
松崎明氏
いい生活
常務取締役 CTO
いい生活は、不動産業向けにクラウドサービス「いい物件One」を提供する2000年設立の東証二部上場企業だ。いい物件Oneは、不動産会社、オーナー、不動産ポータル、不動産会社サイト、金融機関などをつなぐサービス。不動産会社やオーナーは、不動産ポータルに物件情報や広告を出稿したり、物件の賃貸情報や家賃、入出金などを管理したりできる。2016年8月末現在、全国1289法人、3224店舗で利用されている。
いい生活のITシステムの特徴は、スタートアップとして創業し、規模を拡大させる中で、時代にあった技術とアーキテクチャを積極的に採用してきたことにある。サービス開始後2年からは、それまでのSun SPARCからIntel Architecture(x86)への移行を進め、OSSの利用を拡大させた。2006年からはさらなる規模拡大に対応するため、仮想化を推進し、単一障害点の克服に努めた。さらに2012年からはマイクロサービスアーキテクチャを採用し、ビジネスに合わせてシステムをスケールアウトしやすくした。
「サービスの成長軸は時間、顧客数、機能数の3つで決まります。システム全体のスケーラビリティがビジネス成長の阻害要因にならないようにしたい。そのためには、新たな機能追加に対するアジリティを確保することが重要になってきます」(松崎氏)
マイクロサービスにのっとって多くのシステムをスケールアウトする中、課題になってきたのがストレージのI/Oボトルネックだ。パーティショニングやシャーディング、階層化ストレージを検討したが対応が難しかった。そこで2014年にオールフラッシュストレージを採用。2年半で利用範囲を拡大させ、現在、Violin MemoryとIBMの3つのアレイで約10TBのデータを管理している。
松崎氏によると、オールフラッシュ製品の選択ではパフォーマンス以外の部分が重要になってくる。たとえば、大きなポイントのなるのが「変化に対応できるシンプルなアーキテクチャを持つこと」「製品固有の機能に依存せず交換可能なコンポーネントで構成されていること」「適切なモニタリングができること」だ。
また、TCOという観点での評価も重要だ。松崎氏は「フラッシュは故障率が低く、運用負荷を低減できます。ハードウェアの初期導入コストだけでなく、耐用年数や運用コストという観点から全体のコストと効果を算出することが重要です」とユーザー目線でのポイントを指摘した。