
SAPはスペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2017」イベントで現地時間2月27日、Appleの「iOS」向けのソフトウェア開発キット(SDK)として「SAP Cloud Platform SDK for iOS」を3月30日にリリースすると発表した。SAPは既に、同社の教育トレーニングプログラムであるSAP Academyのサイト上でそのカリキュラムを公開している。
AppleとSAPは2016年5月に、「iPhone」や「iPad」でエンタープライズアプリを利用できるようにすることを目的に提携している。その趣旨は、「iOS」をフロントエンドに据え、バックエンドに位置するSAPの財務アプリやアナリティクスアプリをモバイル機器上から利用できるようにすることだ。
SAPは同SDKによって、エンタープライズ向けアプリのより迅速な開発を可能にするとともに、iOSのネイティブなパフォーマンスを顧客にもたらすことを目指している。
主なポイントには以下のようなものがある。
- このSDKはAppleが開発したプログラミング言語「Swift」で記述されている。また、ユーザーエクスペリエンス(UX)関連のコンポーネントがあらかじめライブラリとして用意されている。
- 「Touch ID」や位置情報サービス、通知といった機能を簡単に利用できるようにするためのコンポーネントもこのライブラリで提供される。
- シングルサインオンや、オフラインでのデータの同期といったエンタープライズ向け機能も用意されている。また、「SAP S/4 HANA」やサードパーティーシステムにアクセスするための既存のエンタープライズ向けサービスやAPIとの連携が考慮されており、コードスニペットの生成機能も用意されている。
- SAPとAppleはSAP Academyで提供されるトレーニングの初期教材を共同で開発した。SAP Academyは、250万人のSAP開発者と、1300万人のApple開発者を念頭に置いたトレーニングを提供する。
- またSAPは現在、小売業や製造業といった各種業界向けのネイティブなiOSアプリを開発中だ。
さらにSAPは同イベントで、Concur TechnologiesやHertz、Nokiaとのコラボレーションを通じて、IoTやコネクテッドカー関連の統合を目指すとも発表した。「SAP Vehicles Network」によって、レンタカー向けの自動化されたエクスペリエンスが創出され、キーレスエントリや、駐車スペースの検索、支払い、ナビゲーション、ビジネス旅行客向けの支出管理ツールの提供などが可能になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。