日本マイクロソフトは3月29日、フジテレビが運営する動画投稿サイト「DREAM FACTORY」を通じた協業を発表。Azure Media Servicesを使った動画配信ソリューションを展開する。
フジテレビジョン 常務取締役 大多亮氏(左)と日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏(右)
以前から日本マイクロソフトとフジテレビは協業関係にあったという。フジテレビは2014年3月から「フジテレビNEXTsmart」の配信基盤としてMicrosoft Azureを採用し、動画コンテンツの配信を行ってきた。
フジテレビが2017年1月16日からサービスを開始した「DREAM FACTORY」もMicrosoft Azureを採用し、動画コンテンツ配信機能である「Azure Media Services」から、認知サービスである「Microsoft Cognitive Services」と、動画にAI(人工知能)を応用するサービス「Media Analytics」を呼び出しながら、各種サービスを実現する。
DREAM FACTORYは"現場の声"から上がってきた企画だと、説明するフジテレビジョン 常務取締役 大多亮氏は、「昔は『フジっ子』と呼ばれるタレントやクリエイターたちが多くいた。(DREAM FACTORYを)今一度『フジっ子』を生み出す起爆剤としたい」(大多氏)と意気込みを語った。
本サービスは現在135のコミュニティ(広場)に各動画を分類し、利用者は好きなジャンルに投稿できると同時に自らコミュニティを作成できるため、自身の動画が他のコンテンツに埋もれにくい。動画に対する評価は「LOVE」という単位で視聴者が投票し、その結果は30分ごとに更新して日/週/月別の評価を確認できる。この他にも機械学習の訓練結果を利用した権利侵害や成人向け動画の駆除、「1人事務所として使える」(大多氏)マイページ、SNS経由の共有機能などを備えるという。
ポイントは音声認識を可能にする「Bing Speech API」の実装だ。英語・中国語・スペイン語・フランス語、そして日本語を含めた5カ国語に対応する自動字幕再生機能を7月1日より提供し、「全世界に羽ばたきたいというクリエイター向け機能として活用できる」(大多氏)という。なお、同APIではイタリア語やポルトガル語など9カ国語に対応しているが、DREAM FACTORYでの対応は今後随時拡充する。
既に動画配信サービスは大手が先行しており、後発は苦戦を強いられそうだが、「そんな甘くはない。(YouTubeなどのように認知・普及に至るには)。相当な注力が必要」(大多氏)と述べ、1~2年内にサクセスストーリーを描けるスターが登場するソリューションを目指すという。フジテレビはDREAM FACTORYを「壮大な実験」(大多氏)と位置付け、動画投稿者は1万人、利用者数は100万人、再生回数は1000万回を目指す。
自動翻訳のデモンストレーション。事前に用意した動画コンテンツを元に音声をテキスト化し、字幕や英語などへの翻訳に利用する