Red Hatは米国時間5月8日、「Red Hat OpenStack Platform 11」をリリースすると発表した。大規模なスケーラビリティと、高いアジリティを有するこのIaaSクラウドの最新バージョンが、2月にリリースされた「OpenStack」第15版の「Ocata」をベースにしているのを見れば、Red HatがOpenStackにどれだけ力を入れているのかが分かるはずだ。
Red HatはOpenStackに注力し続けており、今回のリリースでは、ロールの作成機能や新たなネットワーキング機能に対するサポートを強化するとともに、「Red Hat CloudForms」との統合強化によってクラウド管理能力を向上させている。この最新のOpenStackディストリビューションによって、実績のある「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)の上に構築された信頼性の高いクラウドプラットフォームがもたらされる。
さらに、Red Hat OpenStack Platform 11は「Red Hat Ceph Storage」との密接な統合能力も維持している。また、テクニカルプレビュー段階だったCeph StorageとOpenStackのコンピュートノードの組み合わせは、今回のリリースから公式な機能となる。Cephによるストレージのミラーリングによって、サイト間のレプリケーションが簡素化できるため、障害からの復旧能力も強化される。
OpenStackを採用することで、ユーザーは自らでプライベートクラウドサービスを組み合わせられるようになる。この場合、企業は特定のニーズに合わせてOpenStackの配備を容易にカスタマイズできるようになる一方、アップグレードで難題を抱えることになる。この問題を緩和するためにOcata、そしてOcataをベースにしているOpenStack Platform 11ではインプレースアップグレードの実行がはるかに容易になる。
さらに、OpenStackサービスの個別配備が可能になる。これにより企業のDevOpsチームはデータベースやプロキシ、メッセージングサービスを自社独自のニーズに従って特定のノードに配置できるようになる。このため例えば、稼働中のクラウドに対して、カスタマイズされたロールを配備後に追加することも可能になる。
ネットワーキングおよびNFVに対するサポートは、常にOpenStackの鍵だと言える。Red Hat OpenStack Platform 11では、ネットワークの標準的なユースケースと、通信事業者が取り扱う大規模ワークロードの双方に対応することを目的とした新機能が複数搭載されている。新機能には以下のものが含まれる。
・VLANに対応した仮想マシン(VM)の完全なサポート。これによりOpenStackベースのVMを「Open vSwitch」(OVS)や「OVS Data Plane Development Kit」(OVS-DPDK)経由で配備する一方で、VLANによってカプセル化されたトラフィックの送受信が可能になる。
・通信事業者向けの機能拡張。OVSとDPDKのアップグレードにより、最新の機能や特長が提供されるようになる。これによってパフォーマンスの最適化能力が強化される。
この新クラウドは今後数週間のうちに、「Customer Portal」経由で、また「Red Hat Cloud Infrastructure」ソリューションおよび「Red Hat Cloud Suite」ソリューションのコンポーネントとして提供される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。