IoT予防保守が実現するダウンタイムレスと海外事業展開--サトーグループCEO

日川佳三 怒賀新也 (編集部) 2017年05月12日 07時30分

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 商品ラベルプリンタやバーコードプリンタを中核にラベリング/自動認識に関連した事業を営む企業がサトーグループだ。創業は1940年で、1962年には世界で初めてハンドラベラーを開発している。直近の2015年以降は、IT技術を活用した2つのイノベーションを実現した。

サトーホールディングスで代表取締役執行役員社長兼CEOを務める松山一雄氏
サトーホールディングスで代表取締役執行役員社長兼CEOを務める松山一雄氏

 直近のイノベーションの1つは、2015年に始めた「サトーオンラインサービス」(SOS)だ。IoT(Internet of Things)を活用した予防保守のサービスを提供する。プリンタの故障やメンテナンスによって製造ラインが停止することを避けるために開発した。

 もう1つのイノベーションは、2017年1月に英DataLaseを買収することによって得た新しい印刷技術「インライン・デジタル・プリンティング」だ。あらかじめ商品に専用の顔料を塗布しておき、ここにレーザーを照射することによって情報を印刷する。ラベルレスを実現する。

 インライン・デジタル・プリンティングの可能性についてサトーホールディングスで代表取締役執行役員社長兼CEOを務める松山一雄氏は「ラベル印刷のビジネスを根本から変える」と指摘。「プリンタのメンテナンスが不要になるほか、製品出荷の直前にラベルを印刷できる」(松山氏)

6割程度は消耗品のリピートビジネス

 同社のイノベーションのベースにある考え方は「情物一致」だ。売上構成の99%はラベル関連事業だが、同社では「ラベリング」ではなく「タギング」と表現している。「情報をモノやヒトにヒモ付ける」(松山氏)という意味だ。

 情物一致の例として、ハードウェアを提供するだけでなく、保守メンテナンスサービスやアプリケーションを一緒に提案する。実際に売り上げにおけるハードウェアの比率は低く、6割程度は消耗品のリピートビジネスになっている。

 ラベルに求める情報ニーズも変わった。例えば、食の安全という領域では、値札情報だけでなく、生産地や原材料などのデータをヒモ付けて印刷するニーズが高まっている。「生産や販売などのサプライチェーンを一貫して管理する必要がある」(松山氏)

 製品やサービスの開発において同社が心がけているのは、時代の変化を捉えて汲み取ること。社是は「飽くなき創造」であり、これはイノベーションのことを指している。「三行提報」と呼ぶTwitterのようなコミュニケーションツールもあり、これを使って社員にアイディアを出させる。

IoTでラベルプリンタの予防保守を実現

 2015年に始めたサトーオンラインサービス(SOS)は、ラベルプリンタの稼働状況を24時間365日リモートで監視し、問題が起こりそうな箇所を事前に見つけて必要なサポートを行う予防保守サービス。プリンタには映像などを表示可能なディスプレイも搭載しており、故障時の復旧作業をリモートで支援することも可能だ。

2015年に始めたサトーオンラインサービス(SOS)。サポート担当者の少ない海外でも、予兆検知とオンラインサポートの仕組みを組み合わせることで、プリンタ事業を効率的に展開できる
2015年に始めたサトーオンラインサービス(SOS)。サポート担当者の少ない海外でも、予兆検知とオンラインサポートの仕組みを組み合わせることで、プリンタ事業を効率的に展開できる

 SOSのアーキテクチャはIoTそのものだが、「SOSのキッカケはIoTではなかった」と松山氏は強調する。「まずは製造ラインを止めないことが第一としてある。ラベルプリンタが停止しただけで製品出荷が滞り、機会損失になる」(松山氏)からだ。

 同社は以前から、フィールドサービスのためのCE(カスタマーエンジニア)を200人擁している。販売したラベルプリンタに問題が生じた際には、CEが現場に行って復旧する。すべては「顧客の製造業務を止めない」ためだ。

SOSの仕組みで運用しているプリンタの例
SOSの仕組みで運用しているプリンタの例

 しかし、「ラベルプリンタが止まってからCEが対応していたのでは、ダウンタイムが発生してしまう」と松山氏は言う。一番良いのは、そもそもメンテナンスが不要になるか、あるいは事前に故障を見越せる予防保守を実現することだ。

 こうした背景の下で、同社はSOSを開発した。利用状況をモニタリングすることによって、部品の交換時期などを算出し、予防保守を実現している。2015年のローンチ以降、すでに数十社が予防保守による部品の交換を実施した。

SOSがカスタマーエンジニアの代わりになる

 SOSのコンセプトは、「バーチャルカスタマーエンジニアを、お客さまのそばに」というもの。プリンタ自体のモノは良くできており、工具なしに印刷ヘッドを交換できるようにしているほか、ラベルプリンタのフロントパネルに「治し方の映像」を流すことができる。しかし、CEが介在しないと難しいこともあるという。

 SOSを利用可能なラベルプリンタは、現在ではまだ2機種だけだ。通常のラベルプリンタである「スキャントロニクスCL4/6NX-Jシリーズ」と、製造ラインに組み込んで利用するプリンタでラベル貼りを自動化した「タフアームLR4NX-FAシリーズ」だ。今後出す新機種については、すべてSOS機能を搭載する。

 「いずれは、ラベルプリンタを買ってもらうのではなく、SOSを買ってもらうようになる」と松山氏は言う。SOSというサービスを買ってもらい、現場の用途に合わせて適切なラベルプリンタを組み合わせるのだ。「モノからコトへのビジネスモデルの変換だ」(松山氏)

 SOSは海外の顧客にとっても意義は大きい。海外ではCEのインフラが整っていないので、CEによる人海戦術はとれない。SOSを駆使してリモートで復旧できることの価値は高い。実際にメキシコの現場をSOSを使ってリモートでサポートし、現地の人に治してもらったことがある。

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