ICT総研は、4月26日、クラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果を発表した。
これによると、2017年度の国内クラウドストレージサービス市場の規模は677億円で、利用者は4353万人になることが分かった。同調査は、クラウドストレージサービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4292人へのウェブアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したもの。アンケート実施期間は2017年4月10日〜4月13日。
国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2014年度(2015年3月末)では2788万人だったが、2019年度には4948万人へと増える見込み。このうち有料サービスの利用者数は、2017年度で1157万人に達し、2019年度に1365万人へと増加するとみられ、市場規模は2019年度には775億円に拡大すると予測される。
有料サービス利用者のうち、毎月300〜1000円までの料金を払っているユーザーが全体の49%。平均的な月額利用料金は500円程度とみられる。男女別の利用率で見ると、有料サービスの利用率は男性が13.0%であるのに対して女性は8.7%と少なめで、年齢別では20代の有料サービス利用率が12.7%で他の年代と比べて高く、10代は無料サービスの利用率が42.2%で高い傾向にあるという。
国内の個人向けクラウドストレージサービスの市場規模
クラウドストレージサービスの利用者は、4292人のうち1702人で、多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けている。最も利用者数が多かったのは、iCloud Drive(アップル)で714人。次いでDropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDrive、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスと続いている。また、顧客満足度では、Google Driveが最も満足度ポイントが高く75.4ポイント。次いでAmazon Drive、Dropbox、Evernote、マイクロソフトOneDrive、Yahoo!ボックス、iCloud Driveと続いている。
個人向けクラウドストレージサービスの利用サービス名
個人向けクラウドストレージサービス利用者の顧客満足度
用途は音楽コンテンツの保管などが挙げられている。アンケート調査の回答結果ではどのサービスも写真・動画の保管のために利用する傾向がみられ、Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーは文書保管としての利用も多い。iCloud Drive、Amazon Drive、Yahoo!ボックスのユーザーは特に写真・動画を多く保管する傾向が見られた。ICT総研では、Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーがビジネス利用の頻度が高いのに対して、iCloud Drive、Dropbox、Yahoo!ボックスのユーザーは個人のエンターテイメント利用の度合いが大きいためとしている。
また、どのサービスにおいても写真・動画の保管を目的とした利用者が昨年の調査結果と比べて増加しており、容量の大きい写真・動画を保管するためのサービスとしてクラウドストレージサービスのニーズはますます高まってきているという。ICT総研によると、こうしたニーズに対してクラウドサービス事業者は、写真・動画を無料で保管するサービスの提供に注力しており、写真・動画管理アプリがユーザー囲い込みのための重要な手段として位置付けられているとした。