アクセンチュアは3月13日、福島県会津若松市に展開するアクセンチュア 福島イノベーションセンターを拡充、データ分析など高付加価値なICTサービスの提供拠点とすると発表した。
首都圏で担ってきた基幹系システム開発やテスト事業などの一部の機能を同センターに移管し、デジタルサービスの導入や先端テクノロジを活用した開発手法などの応用を図る。また、人工知能(AI)、アナリティクス、モビリティやIoTなどのデジタル技術を活用した実証実験を推進、先駆的な取り組みを会津地域から全国に発信するという。
これまでIT企業が地方に拠点を設置する目的は、コールセンターやオフショア開発、工場などを低コストを運用するためというケースが多かったが、アクセンチュアではデータ分析など首都圏の高付加価値機能の一部を地方に移転させる。
データサイエンティストをはじめとする次世代高度人材の配置を進めるほか、地元教育機関の卒業生や「UIJターン人材」などの採用を強化する。
具体的には2019年中にアクセンチュア 福島イノベーションセンター所属の従業員を現在の12人から100人規模に増やし、このうち、半数を現地採用する。さらにパートナー企業の従業員15人から100人規模にし、合計200人超の体制を構築するとした。
アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏は「福島イノベーションセンターでは、佐賀市のデータ分析案件を東京を介さずに実施している。IT人材を輩出している会津大学との連携や政府の支援の下、グローバルでの先端技術を利用した、ビッグデータやIoTなどのデジタル技術実証実験などに継続的に取り組みたい」と話しした。
会津若松市長の室井照平氏は会津の強みとして12万人都市という規模が実証実験に適切であり、一次産業など地方都市として典型的な産業構造を持つ点をアピール。実証地域として地方創世のモデル都市を目指すとし、さらに企業誘致のため、2019年3月に500人規模のICT産業向けオフィスを整備する予定という。
総務大臣補佐官の太田直樹氏は「会津若松市はAIやIoTを実装するにあたり問題となる人材不足を会津大学などを中心にカバーし、さらにデータの活用のルールが整備されている点が特徴。ITやデータが雇用を生むモデルを作ってほしい」と述べた。
福島イノベーションセンター センター長 中村彰二朗氏は「情報をオープンにして医療・健康の産業クラスタを構築したデンマークやスウェーデンの事例を参考にしている。プライバシー度の高いデータの分析や他データとの連携はクローズに進め、会津に興味がある企業を誘致する。データビジネスを推進したい」と説明した。
アクセンチュアは2011年8月に福島イノベーションセンターを設立。これまで産学連携により、エネルギー、観光、コミュニケーション、医療など幅広い分野でビッグデータとデータ分析を軸とした先端の実証プロジェクトの実施や、デジタルを活用したまちづくり支援などを手掛けてきた。
(左から)総務大臣補佐官の太田直樹氏 会津若松市長の室井照平氏 アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏 福島イノベーションセンター センター長 中村彰二朗氏