トレンドマイクロは5月18日、ランサムウェア「Wannacry」(別名:WannaCrypt、WannaCryptor、Wcryなど)に感染する恐れのあるWindows端末が世界に50万台以上存在するとの調査結果を公表した。国内にも数万台が存在するとしている。
Wannacryは、感染先のコンピュータを暗号化してユーザーに身代金を要求するとともに、脆弱性が存在する別のコンピュータを探索して、自動的に拡散させる特徴を持つ。
感染先を探す際は、まずローカルもしくはグローバルのネットワークに接続されているコンピュータを無作為に抽出し、ポート445/TCPへの接続を試みる。接続に成功すると、Microsoftのセキュリティ更新プログラム「MS17-010」で修正されたWindowsのSMB v1の脆弱性の有無を確認し、脆弱性が存在する場合には攻撃ツール「EternalBlue」を使用して、Wannacry本体やバックドアのDOUBLEPULSARを仕掛ける。脆弱性が存在しない場合でも、先にDOUBLEPULSARが仕掛けられていれば、DOUBLEPULSAR経由でWannacryに感染させる。
ポート445/TCPを開放しているWindows環境の「Shodan」での検索結果(出典:トレンドマイクロ)
トレンドマイクロの解析では、ポート445/TCPが開いていない場合は、Wannacryが攻撃対象にしないことが分かった。
さらにインターネット検索エンジンの「Shodan」でポート445/TCPが開いているWindows端末を検索したところ、世界で50万台以上が見つかった。最も多いのは米国の19万6423台で、国内にも2万9289台が存在する。このうち7割以上のマシンがSMB v1を有効にしているとみられ、脆弱性が存在すればWannacryに感染する恐れがある。
同社は、WannaCryが拡散する土壌が世界や国内に十分存在していたと指摘。今後も同様の脆弱性や感染中のDoublePulsar を狙った攻撃が続く可能性があるといい、MS17-010の適用やSMB v1の無効化を速やかに実施すべきと勧告している。
SMB v1 の使用が表示されている(出典:トレンドマイクロ)