HPE Discover

新しい"ニューノーマル”?--HPEの回答

末岡洋子 2017年06月15日 07時30分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 かつてハイテク業界で”ニューノーマル”(新しい常識)を口にしていたのは、クラウドを推進するAmazon Web Servicesだった。クラウドが”ニュー”ではなくなった現在、”ノーマル”を奪われたHewlett Packard Enterprise(HPE)が、”ニューノーマル”と強調するのが「ハイブリッドIT」だ。

 6月6日、同社が開催した「HPE Discover Las Vegas 2017」で、エグゼクティブ・バイスプレジデント兼エンタープライズグループ担当ゼネラルマネジャーのAntonio Neri氏がハイブリッドIT戦略について語った。

 クラウドの”ノーマル”化はHPEなど既存のエンタープライズハードウェアベンダーの再編を引き起こした。HPEは2015年末に分社化を完了、その後もソフトウェアなど事業の切り離しなど激動が続いたが、今年に入り買収を発表するなど再び成長フェーズ入りを目指している。

 オンプレミスとクラウド(パブリックとプライベート)を組み合わせる(ミックス)のが「ハイブリッドIT」だが、それだけではない。HPEは自社にとって適正な「ライトミックス(正しい組み合わせ)」を定義し、そのライトミックスを変化に合わせて最適化できるインフラを「ハイブリッドIT」とする。

 ステージに立ったNeri氏は「ハイブリッドITはニューノーマルになった」と宣言する。「HPEはハイブリッドITをシンプルにする」と続けた。


 HPEのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼エンタープライズグループ担当ゼネラルマネジャーのAntonio Neri氏。最高経営責任者(CEO)、Meg Whitman氏の右腕としてHPEの方向性や戦略を決定している。

 Neri氏はこの日、1)ライトミックスを定義、2)ライトミックスの運用、3)ライトミックスの最適化、と3つのステップでHPEの戦略を説明した。

 1)のライトミックスの定義では、自社のビジネスやワークロードに合わせてクラウドとオンプレミスの比率を決定するというものだが、ここでNeri氏は今年春に立ち上げたグローバルサービスHPE Pointnextを紹介した。HPEはエンタープライズサービス事業を2016年にスピンオフしているが、Pointnextは売却対象ではなかったコンサルティングなどのサービスに新たなブランドをつけたものとなる。2万5000人のエキスパートを擁するという。

 Pointnextを率いるAna Pinczuk氏(シニアバイスプレジデント兼Pointnext Servicesゼネラルマネジャー)は、オンラインとカタログで洋服などを販売するOttoの例を紹介した。HPE Pointnextの支援のもとでデジタル体験を新しくすることに成功したとのこと。「我々のトランスフォーメーション方法論に沿って、ハイブリッドのITオペレーションモデルを設計・構築、実装した。インフラは90%高速にプロビジョニングでき、コストも40%削減した」とPinczuk氏。

 2)のライトミックスの運用は、サーバ、ストレージ、ネットワークなどHPEのインフラシステムとなる。鍵を握るのは、ソフトウェア定義だ。「シームレスにインフラをコンポーズできる。アプリケーション、サービスを社内外へのデリバリを簡素化することで、アイデアをすぐに実行してバリューに変えることが可能になる」とNeri氏。

 最たる製品は2016年末にボリューム出荷を開始したコンポーザブルインフラ「HPE Synergy」だが、Neri氏はここで、今年に入りハイパーコンバージドのSimpliVity、フラッシュストレージNimble Storageを、そして2016年にSGIを買収したことにも触れた。「最も包括的なソフトウェア定義アーキテクチャをそろえる」とアピールした。

 ハードウェアではイベント中、Gen 10としてProLiantの最新世代を発表している。シリコンレベルのセキュリティが最大の特徴で、「最も安全な業界標準サーバー。5万時間以上のテストを行った」と胸を張った。Discoverの数週間前には、フラッシュストレージでも新製品を発表している。

 3)のライトミックスの最適化とは、従量課金でオンプレミスを利用できる課金サービスだ。HPEは「Flexible Capacity Services」として提供している。「セキュリティ、管理などのオンプレミスのメリットはそのままに、IT投資を変えて、アズ・ア・サービスで(オンプレミスを)利用したいという声に答える」とNeri氏は狙いを説明する。最大38%削減できた例もあるという。

 なお、5月にDell EMCが”柔軟性のあるコンサンプションモデル”として「Flex on Demand」など新しい課金モデルを発表しているが、Neri氏はこれを批判し「キャパシティの超過問題が残っている。本物の従量課金とは言えない」と比較した。

 3ステップを説明しながらNeri氏は、「ライトミックスのハイブリッドITがあればイノベーションを加速できる。そこで最大の課題となっている複雑性を、HPEはシンプルにする」と述べた。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]