内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

イノベーションに求められる人材像とは

内山悟志(ITRプリンシパル・アナリスト) 2017年06月20日 07時30分

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 最近IT部門長からよく相談されることの1つにイノベーション人材をどのように育成すればよいかという課題があります。今回は、企業におけるイノベーション創出に求められる人材像について考えてみたいと思います。

イノベーション人材とはどのようなタイプの人か

 IoTやAIなどのデジタル技術をビジネスの最前線で活用して事業を革新したり、新規ビジネスを創出することに期待が高まっており、経営者はIT部門長はこうした取り組みを発案したり、推進したりする人材を求めています。

 IT部門は社内唯一のIT専門家集団ですので、こうしたイノベーションに対して何らかの役割を担うことが期待されている組織の1つです。それでは、イノベーション人材とは、どのようなタイプの人材なのでしょうか。

 ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン M. クリステンセン氏等が取り組むThe Innovator’s DNAの研究によると、イノベーションを創出するには「発見力に優れた人」、「実行力に優れた人」、そして「その両方をバランスよく持った人」の3つのタイプの人材が必要であると述べています。

 ここでいう「発見力に優れた人」は、製品、サービス、プロセスに関する革新的なアイデアを創出する役割を担います。「実行力に優れた人」は、発想を具現化し、ものごとを継続的に成し遂げることで成功に導く役割を担います。そして「その両方をバランスよく持った人」は、組織の「翻訳者」として、発想(アイデア)と具現化(技術)の橋渡しを手助けします。そして、イノベーションを生み出す組織は、3つのタイプの人材がバランス良く配置されているのが理想であると述べています。

 つまり、企業がイノベーションを創出するには、1人の天才が必要というわけではなく、異なるスキルや特性を持った複数の人材が、互いの得意技を持ち寄ることが有効だということです。特に、既存の事業で培ったノウハウや長年の成功体験を持つ大企業では、人や組織を動かしながらイノベーションを前進させていかなければならず、アイデアだけでは成功を導くことはできません。

 また、イノベーション案件は、最初から明確なシステム要件が決まっているわけではありませんし、仮説を検証しながら軌道修正を繰り替えていくことが求められます。いわば、リーンスタートアップの進め方が必要となりますので、小規模なチームが機動力を持って動かなければなりません。

 こうした状況を考えると、企業のイノベーション創出には、人や組織を動かしながら全体を統括するプロデューサー、技術的な目利き力と実践力を持ったデベロッパー、そしてアイデアを生み出し、モデル化するデザイナーの3つのタイプの人材が必要となるのではないでしょうか(図1)。


図1.イノベーション人材のタイプ(出典:ITR)

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