日立ソリューションズの吉田です。
今回は、オープンイノベーションとOSSとの関係について考えてみたいと思います。
OSSが登場した頃は、商用ソフトウェアの代替品として、主に「コスト削減」や「ベンダロックイン」を排除するためのツールとして認識されていました。
たとえば、商用UNIXの代わりにLinuxを活用することで、ハードウェアを商用UNIX専用機からIntelアーキテクチャの汎用的なIAサーバへ移行することで、大幅にコスト削減を実現することができました。
また、IAサーバであれば、どのハードウェアベンダの製品でも稼働させることができるので、特定のハードウェアベンダーの製品でなくても良くなり、ベンダーロックインから解放されることになりました。
また、OSだけではなくデータベースも同様で、商用データベースからOSSのデータベースを活用することで、高額なライセンス費用を削減できました。
このようにLinuxやデータベースなどのOSSを活用することで、多くのメリットが得られるため、採用が進められるかに見えましたが、LinuxやOSSデータベース製品などを企業の業務システムに活用するための性能や品質が十分ではなく、少し時間が必要でした。
2000年頃から、Linuxを搭載するサーバが各ハードベンダーから提供されると共に、多くの開発者が業務としてLinuxを開発する現場に投入されました。
日本国内では、2000年代前半に日本OSS推進フォーラムで、これらのOSSが企業のシステムで活用されるために、ベンダーの壁を乗り越え、性能や信頼性を共同で検証しました。
その結果を公開するとともにコミュニティにフィードバックすることで、Linuxやミドルウェアの機能/信頼性の向上に貢献をし、現在では、Linuxやミドルウェアを企業のシステムに活用できるレベルに到達しました。
IT導入の目的は、「自動化」「情報化」と一般的に言われています。ここでの「自動化」は人間が担っている作業を「ITで自動化する」ということなので、「効率化」「省力化」という言葉のほうが適切かもしれません。