より賢く活用するためのOSS最新動向

オープンイノベーションとOSS--コミュニティ参加の効用 - (page 3)

吉田行男

2017-06-09 07:00

 また、自社で開発したソフトウェアをOSS化する事例も出てきています。ミドクラは2014年11月に足掛け5年25億円を要して開発した「MidoNet」をOSS化しました。

 MidoNetはネットワーク仮想化のソフトウェアで、企業の基幹ネットワークとして活用されるソフトウェアです。

 OSS化した理由は、米国の大手企業から「ベンチャー企業が開発したソフトウェアは、OSSでなければ導入できない」と言われたからといいます。

 OSSであればベンチャー企業が倒産しても、コミュニティの開発者によって、機能の維持やエンハンスが可能になり、継続的に活用できます。


 OSS化により、他社のエンジニアが検証できるようになったことでメディアに露出するようになり、認知度が飛躍的に向上したという事例もあります。ソフトを提供した会社は技術の高さを証明できる可能性があるのです。

 このように企業が開発したソフトウェアをOSSとして公開することによって、大きなメリットが得られるようになってきました。

 米国Blackduck社が運営している「OpenHub」では、多くのOSSプロジェクトを観測しています。

 現在、観測しているプロジェクト数は、約67万に上ります。その中でとても興味深い調査結果が公表されているので、ご紹介したいと思います。

Sector # of Orgs Average Commits/Affiliate
Commercial 61% 24%
Non-Profit 21% 36%
Education 14% 16%
Government 4% 22%

 このデータの意味するところは、「OpenHub」で観測されているプロジェクトのうち、商用ベンダーが中心となっている開発している組織が61%あり、商用ベンダのエンジニアがコミットしている比率は24%だということを表しています。

 要するに、Non-Profitなどに所属しているエンジニアのコミット数が76%ということで、これらのOSSの開発に大きく貢献していると言えることになります。

 OSSのコードを公開することで、自社以外のエンジニアの力を大きく活用できているということの表れです。

 このように多くの会社の開発者と一緒になって開発するスタイルは「オープンイノベーション」の一種といえます。

 従来のように自社の閉鎖的な環境の中で、開発するだけではなく、さまざまな開発者と交流を持ちながら、開発していくことが開発者にとっては重要なことになってきます。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]