また、自社で開発したソフトウェアをOSS化する事例も出てきています。ミドクラは2014年11月に足掛け5年25億円を要して開発した「MidoNet」をOSS化しました。
MidoNetはネットワーク仮想化のソフトウェアで、企業の基幹ネットワークとして活用されるソフトウェアです。
OSS化した理由は、米国の大手企業から「ベンチャー企業が開発したソフトウェアは、OSSでなければ導入できない」と言われたからといいます。
OSSであればベンチャー企業が倒産しても、コミュニティの開発者によって、機能の維持やエンハンスが可能になり、継続的に活用できます。

OSS化により、他社のエンジニアが検証できるようになったことでメディアに露出するようになり、認知度が飛躍的に向上したという事例もあります。ソフトを提供した会社は技術の高さを証明できる可能性があるのです。
このように企業が開発したソフトウェアをOSSとして公開することによって、大きなメリットが得られるようになってきました。
米国Blackduck社が運営している「OpenHub」では、多くのOSSプロジェクトを観測しています。
現在、観測しているプロジェクト数は、約67万に上ります。その中でとても興味深い調査結果が公表されているので、ご紹介したいと思います。
Sector | # of Orgs | Average Commits/Affiliate |
---|---|---|
Commercial | 61% | 24% |
Non-Profit | 21% | 36% |
Education | 14% | 16% |
Government | 4% | 22% |
このデータの意味するところは、「OpenHub」で観測されているプロジェクトのうち、商用ベンダーが中心となっている開発している組織が61%あり、商用ベンダのエンジニアがコミットしている比率は24%だということを表しています。
要するに、Non-Profitなどに所属しているエンジニアのコミット数が76%ということで、これらのOSSの開発に大きく貢献していると言えることになります。
OSSのコードを公開することで、自社以外のエンジニアの力を大きく活用できているということの表れです。
このように多くの会社の開発者と一緒になって開発するスタイルは「オープンイノベーション」の一種といえます。
従来のように自社の閉鎖的な環境の中で、開発するだけではなく、さまざまな開発者と交流を持ちながら、開発していくことが開発者にとっては重要なことになってきます。