米CyberArkは6月22日、64ビット版のWindowsに搭載されているカーネル保護機構の「PatchGuard」を回避する新たな攻撃手法を報告した。同社はこれを「GhostHook」と命名し、悪用すればユーザーに気付かれないままコンピュータを乗っ取ることができると警告している。
PatchGuardは、ハードウェアと連携し、不正なコードやルートキットなどのマルウェアによるOSのカーネル領域の改ざんといった悪意ある行動をブロックする仕組み。「Kernel Patch Protection」と呼ばれることもある。
CyberArkの研究部門によれば、64ビット版のWindows 10ではPatchGuardの不備を突くことにより、あらゆるエンドポイント向けセキュリティ製品の検知を回避して、コンピュータにルートキットなどを感染させることができる。攻撃者は、ほぼ完全に感染マシンを制御できるという。
CyberArkは、64ビット版OSを狙うマルウェアが脅威全体の1%に満たないものの、これまでに出現したマルウェアは、国家規模のサイバースパイ攻撃に悪用される高度なものばかりだと指摘する。
報告を受けたMicrosoftはCyberArkに対して、「攻撃者がこの手法を用いるには、先にマシン上でカーネルモードによるコードを実行している必要があるため、セキュリティ更新プログラムの提供基準にはあたらない」と返答。ただ、将来のWindowsで対処する可能性はあると言及している。

64ビットWindowsへの攻撃手法を報告したCyberArc