Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏が米国時間7月2日、Linuxカーネルバージョン4.12のリリースを発表した。今回のリリースは、AMDの新グラフィックスカード「Radeon RX Vega」のサポート追加により大きなサイズのものとなっている。
Torvalds氏はLinux開発コミュニティーのメーリングリストであるLinux Kernel Mailing List(LKML)に「今週はとても穏やかであり、4.12のリリースを遅らせるような状況は発生しなかった」と記している。
Phoronixの記事が伝えているように、今回リリースされた4.12ではVega GPU向けのDirect Rendering Manager(DRM)や、新たなディスクおよびファイルシステム、IBM(「POWER9」)やARM、NVIDIAのプロセッサ向けアップデート、USB Type-Cポートマネージャ、KASLR(Kernel Address Space Layout Randomization)によるカーネルのセキュリティ強化(x86システムではデフォルトで有効化される)に取り組んだ結果、4.11に比べるとコードが100万行以上追加されているという。
「4.12はこれまでを振り返って見ても最大のリリースの1つだ。これよりもコミット数が多かったのは4.9だけのはずだ。4.9が大きなリリースとなったのは、Greg(Kroah-Hartman氏)がLTSリリースになると発表したせいもある。しかし4.12は単に大きいのだ」(Torvalds氏)
なお、5月中旬以降、この最終リリースまでに7度のリリース候補(RC)版が公開されている。
Torvalds氏はメーリングリストでの発表で、4.12全体のshortlogを「投稿するには大きすぎる」と述べているものの、同日のリリースは通常と比べると「少し量が多いだけの普通の開発」であり、過去1カ月間をかけて十分に安定化してきたものだと太鼓判を押している。
同氏は、「4.12のdiff(差分)も非常に大きなものとなっているが、その理由は大きな開発があったためではなく、AMDのVegaをサポートするための新規ヘッダファイルを大量に追加したためだ」と説明している。
「実際のところ、それがパッチのほとんど半分を占めており、今回リリースしたパッチの85%以上がドライバ関連だ(すべてがAMDのVega関連のヘッダではなく、例えばステージングエリアに追加されているIntelのIPUドライバも大きなものとなっている)」(Torvalds氏)
Torvalds氏は同投稿で、コミュニティーに向けた指示を「Go test」(テストしてほしい)から「Go out and use it」(実際に使ってほしい)に変更している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。