デルがクラウドサービスを手掛ける3社と協業し、中堅企業(従業員数100人以上1000人未満)向けに3社のサービスの販売を始めた。この動き、デルの"深謀遠慮"がありそうだ。
デルが外部のクラウドサービスの販売を始めた理由
デルが販売を始めたクラウドサービスは、中堅企業がクラウド化に着手するうえで代表的なソリューションを体系化するとともに、ワンストップで提供できる体制を構築し、初期のクラウド化への対応ソリューションを提供するものだ。
デルは、中堅中小市場での評価が高いラクス、カゴヤ・ジャパン、エックスサーバーの3社と協業し、サービス内容としては、特に中堅企業からの利用ニーズが強い汎用情報系および汎用業務系の各種クラウドサービスを取りそろえた。(図1)
図1:デルが販売するクラウドサービスの概要(出典:デルの資料)
この事業を推進するデルの清水博 執行役員 広域営業統括本部長によると、同社にとって中堅企業は「最重要顧客」だ。「日本で4万7000社のうち61.7%の2万9000社がデルのお客様。しかも継続購買率は70.4%に及ぶ」という。
そうした背景を踏まえ、デルが今回のクラウドサービスの販売を始めた理由について清水氏は、「お客様のプロジェクトでクラウドの適合分野が広がり、クラウド要件が含まれる案件が増加してきた。また“ひとり情シス”のお客様から、時間的な制約が多く、新規サービスの検討がしにくいので1つの窓口で購入したいとの要望も高まってきた」と説明。加えてこう続けた。
「当社のインサイドセールスが順次、ITコーディネーターなどの資格を取得し、ITインフラコンシェルジュからクラウドコンシェルジュへとスキルアップし、クラウド提案が可能になってきた」
デル内部でのこのキャリアパスの内容は図2の通りだが、「要するに、最初はPCが中心、ITインフラコンシェルジュはサーバとPC、そしてクラウドコンシェルジュはクラウド要件も入った提案が行えるスキルを持つということ」(清水氏)だという。
図2:デルにおけるITコンシェルジュのキャリアパス(出典:デルの資料)