アイ・ティ・アール(ITR)は8月3日、国内のエンタープライズモバイル管理(Enterprise Mobility Management:EMM)市場規模推移と予測を発表した。2016年度の売上金額は前年度比21.2%増の117億円と大幅な伸びを示し、2017年度も同17.7%増と引き続き高い伸びを予測している。
EMMは、モバイル端末管理(MDM)やモバイルアプリケーション管理(MAM)、モバイルコンテンツ管理(MCM)などで構成される。
2016年度に大幅な伸びとなった背景には、今まで特定の部門で利用されていたEMMの製品やサービスが全社規模での利用へと範囲を拡大していることが背景にあると指摘。政府が主導する「働き方改革」により、テレワークや在宅勤務制度を導入する企業が増えていることも市場の拡大を後押ししている。
今後も、モバイルデバイスの出荷台数の減速に伴って若干の陰りが見え始めているものの中長期的に安定した伸びが見込まれ、ITRでは2016~2021年度の年平均成長率(CAGR)は9.9%と予測した。
EMM市場をパッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2016年度はパッケージ市場が前年度比8.5%増だったのに対し、SaaS市場は同23.2%の大きな伸びを示した。同社では、今後もSaaSを中心に導入が進むものと予想している。

EMM市場規模推移と予測(出展:ITR)
今回の発表は、同社が発行した市場調査レポート「エンタープライズ・モバイル管理市場2017」に向けて行った調査に基づくもの。ITRはEMM市場を3分野に分け、国内23ベンダーを調査した。