最新の「Trickbot」拡散キャンペーンで、7万5000通以上の電子メールが25分の間に送信されたことをCyrenのセキュリティ研究者らが発見した。これらの電子メールは全て、英銀行大手のLloyds Bankが送信したように偽装されているという。
これらの電子メールの件名は「Incoming BACs」となっている。BACSとは、1つの電子メールアカウントから別の電子メールアカウントに直接送金できる機能を提供するシステムだ。電子メールは標的に対し、添付書類を確認するよう促す。
添付された「Excel」ファイル「IncomingBACs.xlsm」をダウンロードして開くと、ユーザーはその文書を編集するためにマクロを有効にするよう促される。しかし、多くの電子メールキャンペーンと同様、このプロセスを実行すると、マルウェアペイロードがデプロイされてしまう。
今回のケースでは、Trickbotは「PowerShell」を使って実行ファイルをダウンロードする。このファイルは最終的に「Pdffeje.exe」として実行される。これはTrickbotのメインのプロセスで、同マルウェアをマシンにインストールする。
提供:Cyren
コンピュータがTrickbotに感染すると、同マルウェアはバックグラウンドで実行され、被害者がオンラインバンクにアクセスするのを待つ。
被害者がオンラインバンクにアクセスすると、Trickbotは彼らを悪意あるサイトにリダイレクトする。今回のケースでは、被害者は本物のように偽装されたLloydsの偽ウェブサイトにリダイレクトされる。この偽ウェブサイトは、Lloydsの正しいURLと正規のSSL証明書を提示するので、ユーザーは自分がだまされていることに気づかない可能性もある。
攻撃者は被害者のオンライン銀行の認証情報とセキュリティコードを盗むことができる。
これらの偽サイトは本物にそっくりだが、電子メールがLloydsから送信されたものでないことを示す情報が1つある。送信元の電子メールアドレスのスペルが正しくないことだ。
正しい電子メールアドレスは「lloydsbank.co.uk」だが、偽装メッセージの送信元は「lloydsbacs.co.uk」となっている。この電子メールのほとんどが、スパムの発信元として知られているオランダのIPアドレスから送信されているというという。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。